2009 Fiscal Year Annual Research Report
気管支喘息患者のIL-13遺伝子変異と気道リモデリング
Project/Area Number |
20590933
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
中村 豊 Iwate Medical University, 医学部, 講師 (60328614)
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Keywords | アレルギー・喘息 / 遺伝子 / SNP / 気道リモデリング / IL-13 / 吸入ステロイド |
Research Abstract |
平成20年度において、気管支喘息患者の中でIL-13(Q110)をもつ患者は気管支の気道リモデリングが進行することにより肺機能が著しく低下している事を示した。21年度においては気道リモデリングに関与する分子を同定するためにIL-13(R110)とIL-13(Q110)との患者からそれぞれ採取した末梢血単核球と線維芽細胞とを共培養をした後、線維芽細胞からRNAを抽出後マイクロアレイを用いて網羅的に強発現する分子あるいは減弱する分子とを比較検討した。その結果IL-23、CCL-8、CSF-3、CSF-2などがIL-13(Q110)患者からの単核球と共培養を行った線維芽細胞において有意に強く発現が認められたが、一方低下した分子は認めなかった。さらに各患者群に対し再び気管支鏡下に気管支洗浄液の採取を行い各分子の濃度比較を行った。その結果in vitroの結果と同様にこれら分子の気管支洗浄液中の濃度はIL-13(Q110)患者において有意に高値を示した。次にIL-13(Q110)患者においてこれまでの治療を継続する群と、高用量吸入ステロイドを上乗せ投与する群とに分け6か月後に群間で比較したところ、高用量吸入ステロイド投与群では洗浄液中のこれら分子は有意に低下し、気道上皮基底膜の厚さは薄くなっており肺機能低下は改善された。以上、IL-13(Q110)喘息患者の肺機能はIL-13(R110)患者の肺機能と比較したときに有意に低下しているが、高用量吸入ステロイドの投与によりIL-13やIL-23、CCL-8などの発現を抑制し、気道リモデリングと肺機能低下をおさえることが可能になることを示した点で意義がある。臨床においては喘息患者の診察時に早期からIL-13(Q110)の有無を確認し治療法を決定することにより患者のQOLを保つことが可能になる点で重要である。
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