2009 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病を基礎とする慢性腎臓病抑制対象に関する基礎的検討
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20590941
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中山 昌明 Tohoku University, 病院, 准教授 (60217940)
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Keywords | 慢性腎臓病 / メタボリック症候群 / 生活習慣病 / 糖代謝産物 / メチルグリオキサール |
Research Abstract |
検体収集と各種物質の測定 慢性腎臓病患者の空腹時血清サンプルを200検体採取・収集。メチルグリオキサール(MGO)ならびに3-deoxyglucosone(3DG)の測定を終了した。ジカルボニル物質の測定は、既報の方法にしたがい0-フェニレンジアミン誘導体化反応を行った後にLC/MS法にて測定した。さらに、空腹時血糖、血中インスリン値からHOMA-IRを求めた。その他、中性脂肪、HDLコレステロール、C反応性蛋白等を測定し、これらの要因と腎機能との関連について検討を行った。さらに、患者のその後の臨床経過を確認し、各種イベント(心疾患,脳卒中,死亡)に関して調査した。 解析結果:以下に主な解析結果を示す。 1.血中MGO濃度は腎機能の低下に伴い有意に増加したが、3DGでは有意の変化は認められなかった。 2.インスリン抵抗性の指標であるHOMA-IRは腎機能の低下に伴い増加する傾向が認められた。 3.メタボリック因子に関して、HOMA-IRで2.0以上を呈する例の割合は、CKDステージ1~3と比較してステージ4~5の例では増加していた。中性脂肪値は腎機能の低下に伴い上昇していた。 4.血中MGOはイベント発生に対する独立寄与因子となっていた。 意義・重要性に関して 現在までの検討結果より、腎機能の低下は、血中MGO濃度の増加ならびにインスリン抵抗性の増大と関連している事が確認された。さらに、実際の臨床イベントと密接に関連していることが前向き観察調査から確認されたことより、今回の結果は、MGOの増加がインスリン抵抗性増大、心脳血管病や死亡のリスク増大に関与している可能性を示唆する内容である。今後、MGOを抑制することが治療の目標、あるいはサロゲートマーカーとなりうる可能性を示唆するものと考えられる。
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