2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590942
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森本 哲司 Tohoku University, 病院, 助教 (10344657)
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Keywords | 微小単離尿細管灌流法 / カルシウム感知受容体 / 髄質部太いヘンレの上行脚 / 細胞内アルカリ化 |
Research Abstract |
我々は、微小単離尿細管灌流法を用いた実験により、腎髄質部の太いヘンレの上行脚(mTAL)の血管側に、カルシウム感知受容体(CaR)作動薬であるネオマイシンを投与すると、細胞内が酸性化されるという現象を報告した。しかしながら、この実験系では、重炭酸イオンを含まない灌流液を用いたので、より生理的な重炭酸イオンを含む灌流液で、再度実験を行った。その結果、従来の我々の報告とは反対に、この実験条件下では、ネオマイシン(0.4mM)を血管側に加えると細胞内がアルカリ化するという新しい事実が判明した。この結果を検証するために追加実験を行い、最終的には重炭酸イオンを含む灌流液下で、定常状態のmTALの細胞内pHは7.17±0.01であり、ネオマイシンを投与すると7.28±0.02まで細胞内がアルカリ化されることがわかった。 この結果を受けて、Na-H交換体・H-ATPaseやH-K-ATPaseがmTALにおけるカルシウム感知受容体作動薬投与時の細胞内アルカリ化に関与していないかを確認するため、様々な実験条件下で研究を推し進めた。その結果、ネオマイシン投与によるmTALの細胞内アルカリ化に、Naイオンは関与しておらず、一方、Kイオン非存在下では細胞内アルカリ化が消失することが明らかになった。 今後は、Kイオンに依存するCaR作動薬投与時のmTALにおける細胞内アルカリ化現象の詳細を解明するために、研究を継続する予定である。
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