2010 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症の進展に対するSODによる防御機構の解明
Project/Area Number |
20590943
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
藤田 浩樹 秋田大学, 医学部, 講師 (30333933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 祐一郎 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60283610)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
Superoxide dismutase(SOD)は高血糖下で増加するsuperoxideの除去において主要な役割を果たす抗酸化酵素である。これまでに、cytosolic CuZn-SOD(SOD1)とextracellular CuZn-SOD(SOD3)の2つのSOD isoformの腎糸球体での発現ならびに活性の低下は酸化ストレスを招き、腎症の進展に関わっている可能性を報告してきた(JASN20:1303,2009)。SODと腎症との関係をより明確にするため,腎症の発症進展に比較的抵抗性を示すC57BL/6-Ins2^<Akita>糖尿病マウスにおいて、SOD1またはSOD3遺伝子さらにはその両者を欠損させることで腎病変の進行がみられるのか調査を行った。20週齢時、SOD1欠損C57BL/6-Ins2^<Akita>糖尿病マウスの腎糸球体ではSOD活性の著しい低下とsuperoxideレベルの増加が観察されるとともに、腎症の臨床的マーカーである尿中アルブミン排泄の増加、組織学的にメサンギウム基質の増加など腎病変の進行が観察された。一方、SOD3欠損C57BL/6-Ins2^<Akita>糖尿病マウスにおいては、腎糸球体でのSOD活性の低下およびsuperoxideレベルの増加は顕著ではなく、腎病変の進行も軽度であった。さらに、SOD1とSOD3のダブル欠損C57BL/6-Ins2^<Akita>糖尿病マウスを作製し、これらSOD遺伝子欠損の相乗効果について評価を行ったが、このマウスの腎病変の程度はSOD1単独欠損C57BL/6-Ins2^<Akita>糖尿病マウスと同程度であった。腎糸球体でのNitric oxide (NO)レベルを測定したところ、SOD1欠損を有するマウスにおいて著しい低下が認められ、これはSOD1欠損により増加したsuperoxideがNOと結合した結果と考えられた。本研究は、SOD1 isoformが腎糸球体でのsuperoxideの除去において中心的な役割を果たしていること、SOD1の発現ならびに作用の低下は高血糖下での腎糸球体においてsuperoxideのレベルを高める結果となり、同部位でのNOレベルの低下から内皮機能障害を招き、腎病変の進行に貢献することを明らかにした。本研究の成果から、SOD1に関連した抗酸化的治療が糖尿病性腎症の発症進展の抑制に大きく貢献する可能性が示唆される。
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Research Products
(1 results)