2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規糸球体特異的遺伝子の機能解析と糖尿病性腎症への治療応用に関する検討
Project/Area Number |
20590947
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
竹本 稔 Chiba University, 医学部附属病院, 助教 (60447307)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 慢性腎臓病 / ポドサイト / TGFβ |
Research Abstract |
本研究は糖尿病性腎症の発症機序を解明し、新しい治療法を開発することを最終の目標にしている。この目的の為に、我々が同定した新規糸球体特異的遺伝子であるR3hdm1遺伝子(以下R3h)の機能解析を行なっている。R3h遣伝子の機能解析の為に、R3h遺伝子欠損マウス(以下R3hKOマウス)を作成した。R3h遺伝子欠損マウスでは糸球体基底膜の肥厚のみならず、網膜微小血管の基底膜も肥厚することを明らかとした。また、R3h遺伝子欠損マウスに糖尿病を惹起させことにより、腎機能の悪化やアルブミン尿の増加を認めた。さらにR3h遺伝子の機能解析のために培養細胞を用いて検討した結果、R3h遺伝子の発現がTGFβシグナルによって増強することや、TGFβシグナルを負に制御することにより細胞外間マトリックスの一つであるフィブロネクチンの発現を制御していることを明らかとした。網膜微小血管、腎糸球体といった糖尿病性細小血管の生じる場所にて組織特異的にTGFβシグナルを制御していることは非常に興味深い。 そこで現在はどのようにしてTGFβシグナルをR3hが制御しているのかを培養細胞を用いて、さらに検討しているとともに、R3h遺伝子欠損マウスとTGFβシグナル分子であるSmad3遺伝子欠損マウスを交配することにより、両方の遺伝子欠損マウスの表現型を検討している。 これらの検討により、R3h遺伝子の機能が明らかとなり、糖尿病血管合併症の機序の一端が明らかとなることを期待している。
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