2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規糸球体特異的遺伝子の機能解析と糖尿病性腎症への治療応用に関する検討
Project/Area Number |
20590947
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
竹本 稔 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (60447307)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 慢性腎臓病 / ポドサイト |
Research Abstract |
本研究は糖尿病性腎症の発症機序を解明し、新しい治療法を開発することを最終の目標にしている。この目的の為に、我々が同定した新規糸球体特異的遺伝子であるR3hdml遺伝子(以下R3h)の機能解析を行なっている。R3h遺伝子の機能解析の為に、R3h遺伝子欠損マウス(以下R3hKOマウス)を作成した。R3hKOの腎組織の光学顕微鏡下における観察では野生型に比し差を認めなかったが、電子顕微鏡下での観察ではR3hKOマウスでは野生型に比し有位に基底膜の部分的な肥厚や質的な変化が認められた。糸球体基底膜を含めた細胞外マトリックス産生制御にはTGF-βシグナルが関与することが知られており,R3hKOマウスで観察された基底膜の肥厚にTGF-βシグナルが関与するか否かを検討する目的でTGF-βの細胞内シグナル伝達物質であるSmad3KOとR3hKOのダブルKOマウスを作成したが、R3hKOの基底膜の変化は相殺されず、R3hKOの基底膜の変化はTGF-β非依存性であることが分かった。続いて野生型ならびにR3hKOマウスから糸球体を採取し、Affymetrix社のGeneChipを用いて遺伝子プロファイリングを行った。その結果、いくつかの非常に興味深い遺伝子の発現変化が観察された。その一つがvascular endothelial growth factor C(VEGF-C)である。VEGF-Cはリンパ管の発生に重要な役割を果たすことが知られており、さらに糸球体ではポドサイトに発現していることが報告されている。R3hKOマウスではこのVEGF-Cの発現が低下していたため、VEGF-C遺伝子ミュータントマウスを解析した所、R3hKOマウスの糸球体で観察されたような糸球体基底膜の肥厚が観察された。現在は如何にR3hがVEGF-C遺伝子の発現調節を行っているかを検討中である。
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Research Products
(10 results)