2008 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体上皮細胞スリット膜保護による新規蛋白尿治療法の開発
Project/Area Number |
20590950
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河内 裕 Niigata University, 医歯学系, 教授 (60242400)
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Keywords | 蛋白尿 / 糸球体上皮細胞 / スリット膜 / ARB |
Research Abstract |
蛋白尿に対する新規治療法開発のターゲット分子を特定するための研究を進めた。 平成20年度は(1)スリット膜関連分子群、(2)シナプス小胞関連分子群、(3)アンジオテンシン作用を制御する分子群、(4)糸球体上皮細胞の形態維持に関わる細胞膜分子群について、比較的予後の良いネフローゼ症候群の病態である微小変化型ネフローゼ症候群のモデル(PAN腎症並びにスリット膜障害モデル)、予後の悪い病態である巣状糸球体硬化症モデル(ADR腎症)における発現動態を詳細に解析し、比較検討した。 (I)スリット膜関連分子であるNeph1は糸球体上皮細胞障害の早期マーカーとして有用であること、nephrinと乖離したNeph1量をモニターすることにより病態の予後を予測できること(Am J Physiol Renal 295 ; F1376-F1387, 2008にて報告)を明らかにした。 (II)新規治療法の開発、予後判定のための新規診断法の開発のターゲット分子として(1)シナプス小胞関連分子とドッキングする糸球体上皮細胞膜表面分子、(2)糸球体上皮細胞の糖鎖関連分子(ポドプラニン)の2つの分子を特定した。シナプス小胞関連分子が尿中の病態マーカーとして有用であること、ポドプラニンは糸球体上皮細胞表面全周に発現が見られるが、側部、底部に発現するポドプラニンが糸球体上皮細胞の障害マーカーとして有用であること(平成20年の米国腎臓学会(J Am Soc Nephrol 19 : 191A, 2008)で報告)などを明らかにした。
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