2009 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体上皮細胞スリット膜保護による新規蛋白尿治療法の開発
Project/Area Number |
20590950
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河内 裕 Niigata University, 医歯学系, 教授 (60242400)
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Keywords | 蛋白尿 / 糸球体上皮細胞 / スリット膜 / ポドプラニン / シナプス小胞 |
Research Abstract |
蛋白尿に対する新規治療法開発のターゲット分子を特定するための研究を進めた。 蛋白尿発症に関わる重要な分子として(1)スリット膜関連分子群、(2)シナプス小胞関連分子群、(3)アンジオテンシン作用を制御する分子群、(4)糸球体上皮細胞の形態維持に関わる細胞膜分子群の重要性を明らかにしてきたが、平成21年度は、このうち、(1)、(4)の分子群に焦点を当て、機能解析を行い、以下の事実を明らかにした。(1)シナプス小胞関連分子と結合する膜分子は、予後の悪い病態では早期から尿中に遊離するのに対し、予後の良い病態では蛋白尿が極期の時でも遊離しないことを観察した。この分子はネフローゼ症候群の予後判定マーカーとして有用であると考えられる。(2)糸球体上皮細胞膜分子であるポドプラニンは、微小変化型ネフローゼ症候群モデルで病変初期から尿中に遊離することを観察した。また、小児腎生検材料での検討を行い、微小変化型ネフローゼ症候群患児の糸球体ではポドプラニンの発現が低下していることを観察した。ポドプラニンは糸球体上皮細胞傷害のマーカーとして臨床応用可能であると考えられる。(3)ポドプラニンはエズリンを介して細胞骨格と連結していること、微小変化型ネフローゼ症候群モデルでは、ポドプラニンとエズリンの結合性が変化していることを観察した。ポドプラニンーエズリン複合体が糸球体上皮細胞の構造維持に重要な役割を果たしていることを明らかにした。ポドプラニンの発現、機能、マーカーとしての有性などについて、平成21年の米国腎臓学会報告した。(J Am Soc Nephrol.20 : 730 A,2009)
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