2010 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体上皮細胞スリット膜保護による新規蛋白尿治療法の開発
Project/Area Number |
20590950
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河内 裕 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60242400)
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Keywords | 蛋白尿 / 糸球体上皮細胞 / スリット膜 / Neurexin / Podoplanin / ARB |
Research Abstract |
蛋白尿に対する新規治療法開発のターゲット分子を特定するための研究を進めた。 平成22年度は、以下の事実を明らかにした。(1)前シナプス膜分子であるNeurexinが糸球体上皮細胞に発現しており、蛋白尿発症時にその発現が著明に低下していること、PDZ結合部位を介してCASKと結合し細胞骨格と連結していること、CD2APを介してスリット膜と連結していること、Neurexinは多くのsplice variantを有するが、糸球体に発現している分子型はsplice site#1+,#2-,#3+,#4+,#5+の1種類だけであること、NeurexinをsiRNA法にてノックダウンさせた細胞では突起形成が抑制されることなどを示した(Am J Physiol,300,R302,2010)。(2)糸球体上皮細胞の全周に存在する膜分子であるPodoplaninの発現動態、病変形成、足突起維持との関係についての解析を進めた。 PodoplaninはEzrinを介して細胞骨格と連結しており、この結合の乖離によりPodoplaninが尿中にリリースされることを示した。病態におけるPodoplaninの発現低下は合成低下でなくリリースの亢進による部分が大きいと考えられること,膜表面におけるPodoplaninの低下が蛋白尿発症の引き金になることを示した(国際腎臓学会サテライトNexus Kyoto 2010にて報告,論文投稿中)。(3)微小変化型ネフローゼ症候群モデルにおけるAngiotensin II 1型受容体阻害薬(ARB)の効果、作用機序の検討を行った。ARBは、スリット膜の細胞外部を構成する分子の1つであるNEPH1の発現低下を顕著に抑制することを観察した。ARBは、NEPH1などのスリット膜関連分子に対する保護作用により極期の蛋白尿を改善させることを明らかにした(平成23年6月開催の日本腎臓学会総会で報告予定、論文作製中)
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