2010 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体上皮細胞特異的メタロプロテアーゼ過剰発現ラットの網羅的解析と応用
Project/Area Number |
20590951
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
後藤 眞 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00463969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 一衞 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20272817)
山本 格 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30092737)
井口 清太郎 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特任教授 (20420309)
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Keywords | ADAMTS-8 / transgenic rat / proteinuria / proteome / nephrotic syndrome / phage display |
Research Abstract |
私たちは、腎臓では糸球体上皮細胞に特異的に発現している分泌型メタロプロテアーゼ:ADAMTS (A disintegrin and metalloprotease with thrombospondin motif)-8に着目している。ADAMTS分子ファミリーは細胞外基質を分解するメタロプロテアーゼ分子群であるが、ADAMTS-8の糸球体における機能は現在まで不明である。本研究ではADAMTS-8過剰発現(Tg)ラットを用いて機能解析を試みた。腎糸球体上皮細胞特異的にADAMTS-8を過剰発現するTgラットは、生後半年以降に高度の蛋白尿が生じ、腎組織では巣状糸球体硬化病変を呈する。今年度は昨年度に引き続き、ADAMTS-8 Tgラットのプロテオーム解析を継続した。ADAMTS-8 Tgラットとnon-Tgラットの糸球体をそれぞれ単離し、可溶化した後に二次元電気泳動を行った。Tgラットとnon-Tgラットで有意な差が認められたスポットを選択し、質量分析で蛋白質を決定した。Tgラットでは上皮細胞に発現するNHERF2やglial fibrillary acidic proteinの発現量の減少が見出され、ADAMTS-8の過剰発現により糸球体上皮細胞の細胞内骨格の変化が生じ、蛋白尿の出現につながったと考えられた。さらにADAMTS-8のプロテアーゼ基質を明らかにするためにプロテアーゼドメインのADAMTS-8を用いてペプチドファージディスプレイを行った。親和性のあるペプチド配列として(1)HGKSLSPKRPP1,(2)QTLTWNGPRQLY,(3)LAQRTTSLALRFが得られ、基質となりうる分子を検索している。
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