2010 Fiscal Year Annual Research Report
心腎連関機序:新規骨髄由来細胞の関与とその臨床評価システムの構築
Project/Area Number |
20590952
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
和田 隆志 金沢大学, 医学系, 教授 (40334784)
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Keywords | fibrocyte / 心臓病 / 腎臓病 / 線維化 / コラーゲン / 臨床検査診断 |
Research Abstract |
腎はじめ臓器の線維化は病因を問わず臓器不全に至る共通進展機序である。したがって、臓器線維化の早期診断とその治療の確立が臓器不全への進展阻止を考える上で重要である。しかしながら、各臓器線維化を正確迅速および簡便に評価する測定系はこれまでなかった。そこで、骨髄由来の白血球系細胞であるfibrocyteに着目し、血液中のfibrocyteを同定・計測する臨床評価システムの構築を検討した。抗ヒトCD45抗体および抗ヒトI型コラーゲン抗体によるフローサイトメトリー法にて、二重陽性細胞(fibrocyte)が同定されシステムが構築された。この方法を用いて、同意を得た後、健常者ならびに線維化例を解析した。その結果、間質性肺炎例において、血中fibrocyte数は高値であることが判明した。今後、腎線維化症例の測定とその臨床的意義を検討する予定である。 さらに、腎臓病は心臓病や動脈硬化といった心血管障害の危険因子となる。この心腎連関機序におけるfibrocyteの役割を検討する目的で、腎線維化時に心へのfibrocyteの動態を検討した。本研究において確立したマウス心腎連関モデルを8週雄性NOD.CB17-Prkdc^<scid>/Jマウスに作成した。すなわち浸透圧ポンプを用いてアンジオテンシンIIを皮下投与し、心線維化を惹起した。同時に一側尿管結紮(UUO)を行い、腎線維化モデルを作成した。次に、PKH26標識ヒトfibrocyteをマウスに尾静注した。UUO施行後14日目にと殺し、心組織におけるPKH26陽性細胞数を検討した。その結果、UUOにアンジオテンシンIIを投与した群において、少数ではあるが心におけるPKH26陽性細胞がみられた。このことより、腎線維化を契機に、末梢血のfibrocytgは心に浸潤し、線維化や炎症を介し心腎連関に関与する可能性がある。
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Research Products
(7 results)