2010 Fiscal Year Annual Research Report
BMPとその新規調節因子USAGー1を軸に慢性腎障害の治療法および診断法を探る
Project/Area Number |
20590954
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柳田 素子 京都大学, 次世代研究者育成センター, 准教授 (70378769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 武 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (60251055)
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Keywords | 腎臓病 / BMP |
Research Abstract |
本研究では申請者がみいだした新規BMPアンタゴニストであるUSAG-1の腎臓病進展における役割について解析を行った。 申請者が見いだしたUSAG-1は遠位尿細管に強発現するBMPアンタゴニストであり、同じく遠位尿細管から分泌され、腎保護作用をもつBMP7と結合し、その受容体への結合を阻害する(Yanagita M et al. J Clin Invest 2006)。しかしながらUSAG-1の糸球体障害における役割については分かっていなかった。 申請者は、遺伝性進行性糸球体腎炎であるアルポート症候群のモデルマウスであるcol4a3欠損マウスとUSAG-1欠損マウスを交配し、その腎機能低下、蛋白尿および組織障害の程度がUSAG-1欠損マウスで軽微であることを見いだした(Yanagita M et al. J Clin Invest 2010)。さらに遠位尿細管から分泌されたUSAG-1がmacula densaを通して糸球体に到達する可能性を示唆し、糸球体-遠位尿細管クロストークの可能性について提唱した。 この結果から、USAG-1に対する中和抗体には尿細管および糸球体病変の双方に有効な薬剤としての可能性があると考えられる。現在申請者はUSAG-1中和抗体作製にも成功し、そのin vivoにおける役割について検証中である。 一方で申請者は遠位尿細管におけるUSAG-1発現が強いほど腎予後が悪いことを見いだし、USAG-1発現が腎予後マーカーとして有望である可能性についても見いだした(Yanagita M et al. Kidney Int 2008)。以上の結果から、USAG-1は腎臓病治療薬および診断薬のターゲットとして有望であると考えられた。
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