2008 Fiscal Year Annual Research Report
非ペプチド性生体内有機化合物による上皮形質誘導保持作用の分子機構の解明
Project/Area Number |
20590955
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 潔 Kyoto University, 医学研究科, 講師 (60343232)
|
Keywords | 内科 / 生体分子 / 腎臓内科学 / 鉄 / 有機化学 / 腎不全 / リポカリン / バイオマーカー |
Research Abstract |
申請者はこれまでneutrophil gelatinase-associated lipocalin (Ngal)が鉄及び非ペプチド性小化合物siderophoreを介する全く新しい作用機構によって[Nature 2004, Kidney Int 2007]、腎分化誘導活性[Mol Cell 2002]、腎保護活性[J Clin Invest 2005]を示すことを明らかにしてきた。さらにヒト急性腎不全の血液、尿、腎組織中にNgal蛋白が著しく増加することを報告し、腎不全のバイオマーカーとしてのNgalの有用性を提案してきた[J Clin Invest 2005]。本研究では、マウス尿からmammalian siderophoreの精製に成功し、標品Rは大腸菌由来siderophoreよりも強くNgal蛋白とFeの会合をサポートすることを明らかにした。さらに、Ngal: bacterial siderophore複合体は前投与した55Feの分布に関して、肝臓・血液中の濃度を1/3倍に低下させると共に、腎臓・尿中の濃度を3倍に増加させることを明らかにした。またNgalは鉄キレート作用によりastrocyteのアポトーシスを誘導することを示した[Lee et al. J Neurosci 2008]。Ngal欠損マウスにおいては野生型マウスと比して腎障害が重症化・遷延化すること、一方で高い循環血中Ngal濃度をもつNgal過剰発現マウスにおいては野生型マウスと差がないことを明らかにした。また尿中Ngalにより救急外来患者の急性腎不全を早期に診断できること[Nickolas et al. Ann Intern Med 2008]、糖尿病性腎症ではNgalの再吸収不全によって尿中Ngal排泄が増加し[Kuwabara et al. Kidney Int 2009]、これはアンギオテンシン受容体阻害薬の投与によって回復することを報告し[Kasahara et al. Nephrol Dial Transplant 2009]、慢性腎臓病の病勢評価にNgalが有用であることを明らかにした。
|
Research Products
(19 results)