2009 Fiscal Year Annual Research Report
非ペプチド性生体内有機化合物による上皮形質誘導保持作用の分子機構の解明
Project/Area Number |
20590955
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 潔 Kyoto University, 医学研究科, 講師 (60343232)
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Keywords | 内科 / 生体分子 / 腎臓内科学 / 鉄 / 有機化学 / 腎不全 / リポカリン / バイオマーカー |
Research Abstract |
Ngalの腎保護効果は大腸菌由来siderophoreであるenterochelinの共存により増強されたことより、哺乳類の生体内にmammalian siderophoreが存在すると予想された。既知量のapo-Ngal蛋白、Fe-55及びsiderophore候補分子を混合し、10 kDa cutoff膜上で洗浄するsiderophore測定法(Retention assay)を用いて、正常のマウスやヒト尿中にsiderophore様活性があること、この活性は有機溶媒によって水層から抽出されるので有機化合物だと予想されることを明らかにし、逆層HPLC及び精密質量分析によって mammalian siderophoro候補の有機化合物の一つ「R」を同定した。 Ngal knockout miceでは尿中のsiderophore様活性は野生型マウスよりも有意に亢進していた。Ngal:R:Fe-55のtriple complexをマウスに腹腔内投与すると、主に腎近位尿細管の内腔側にFe-55の集積を認めた。一方、クエン酸:Fe-55を投与すると主に肝臓に集積した。以上のことよりmammalian siderophoreは生体内で鉄の分布の恒常性維持に関与しているものと思われた。今後、NgalとRの相互作用がpH依存的に解離するのかを検討することにより、細胞外から細胞内へ取り込まれた鉄の利用経路を明らかにする。
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