2010 Fiscal Year Annual Research Report
非ペプチド性生体内有機化合物による上皮形質誘導保持作用の分子機構の解明
Project/Area Number |
20590955
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 潔 京都大学, 医学研究科, 准教授 (60343232)
|
Keywords | 内科 / 生体分子 / 腎臓内科学 / 鉄 / 有機化学 / 腎不全 / リポカリン / バイオマーカー |
Research Abstract |
neutrophil gelatinase-associated lipocalin (Ngal or LCN2)の腎保護効果は大腸菌由来siderophoreのenterochelinにより増強されるのでmammalian siderophoreが存在すると予想された[Mori et al. J Clin Invest 2005]。化学的スクリーニング、X線結晶構造解析、蛍光リガンド法などにより、マウス及びヒトの尿中よりmammalian siderophoreの精製、分子量決定、構造推定を行った結果、mammalian siderophoreはcathecol及び非常に多彩なその誘導体化合物群であることが明らかとなった[Bao, Mori et al. Nat Chem Biol 2010]。 野生型マウスにおいてNgal蛋白:enterochelin : Fe複合体の腹腔内投与は腎虚血再潅流障害を軽減させたが[Mori et al. J Clin Invest 2005]、Ngalの作用には近位尿細管への鉄の運び入れ、尿細管細胞の増殖促進・アポトーシス抑制、細胞保護的なheme oxygenase-1の発現誘導、N-cadherinの分解抑制などが関わっていると考えられた。次に慢性腎不全のモデルとして、FVB/N backgroundのマウスで3/4腎亜全摘を検討した。野生型マウスでは、EGF受容体活性化によりHIF1α依存性にNgal発現が誘導され、代償性の尿細管細胞増殖を惹起し炎症細胞浸潤が遷延して腎障害が進行するが、Ngal KOマウスでは腎障害が軽度であった[Viau, Mori et al. J Clin Invest 2010]。 マウスの糖尿病性腎症や一側尿管結紮を詳細に検討した結果、尿中Ngal濃度は腎臓でのNgal産生・白血球からのNgal分泌・近位尿細管での血液由来Ngalの再吸収不全などにて規定されることを報告した[Kuwabara, Mori et al. Kidney Int 2009]。
|
Research Products
(27 results)