2009 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓におけるNa利尿ペプチド系のトランスレーショナルリサーチと探索的臨床応用
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20590956
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
向山 政志 Kyoto University, 医学研究科, 准教授 (40270558)
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Keywords | 慢性腎臓病 / トランスレーショナルリサーチ / Na利尿ペプチド / トランスジェニックマウス / アルドステロン / 糖尿病性腎症 / 蛋白尿 / ポドサイト |
Research Abstract |
腎臓におけるNa利尿ペプチド系(ANP, BNP, CNPおよび受容体)の意義を検討し、以下の研究成果を得た。 1.CNP過剰発現マウスを用いた腎障害モデルにおける検討 CNPは血管内皮や骨などで産生され、主にparacrine様式で血管保護や骨伸長作用に働く。循環血中のCNPの意義および治療薬への応用を検討するため、SAP promoterを用いて肝臓より分泌されるCNP過剰発現マウスを作製、解析したところ、軟骨特異的過剰発現マウスと同様の明らかな骨伸長が見られ、血中CNPが骨組織に十分作用しうることが示された(Am J Physiol 2009)。このマウスを用いて腎間質線維化モデル、糖尿病性腎症モデルを作製すると、野生型に比べ有意の腎保護効果を認め、その機序としてマクロファージ浸潤の明らかな抑制を認めた。 2.腎障害モデルにおけるCNP投与の検討 疾患成立後の治療効果を検討するため、CNPをosmotic minipumpを用いてマウスに腹腔内投与したところ、問質線維化モデル作製3日後からの投与で有意の線維化抑制とマクロファージ浸潤抑制を認めた。 3.GC-A欠損マウスの腎病変の解析とアルドステロンの意義の検討 アルドステロンの血圧によらない腎障害作用が注目されている。腎臓におけるNa利尿ペプチド系とアルドステロンの拮抗関係を調べるため、ANP・BNP受容体(GC-A)欠損マウス(GC-A-KO)にアルドステロンを負荷し野生型と比較検討したところ、GC-A-KOでのみネフローゼレベルの蛋白尿とpodocyte傷害を来すことを見出した。その機序をgene arrayや薬物投与を用いて解析し、GC-A-KO+アルドステロン群である種のproteaseが著増すること、抗MR薬やARB、抗酸化剤でネフローゼやこれらの病態が明らかに改善することを認めた。 このように、Na利尿ペプチド系は腎臓局所において、尿細管以外の複数の作用点で腎保護作用を発揮することが示された。
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Research Products
(5 results)