2009 Fiscal Year Annual Research Report
IgA腎症の発祥機序における常在菌、特にブドウ球菌膜抗原の関与の研究
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20590960
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
小山 哲夫 Ibaraki Prefectural University of Health Science, 保健医療学部, 学長 (80111384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 直人 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (40239900)
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Keywords | IgA関連腎炎 / IgA腎症 / 紫斑病性腎炎 / MRSA感染後腎炎(スーパー抗原関連腎炎:SARN) / TCRV β repertoire / FACS解析 / T細胞subsets / T細胞活性化機序 |
Research Abstract |
IgA腎症発症・進展にS.aureusの関与について、昨年度は産生さらた抗S.aureus抗体の性状について検討し、腎炎惹起性のIgA抗体であっ。すなわち、IgAの高抗体価を示すhigh responderかつlow avidityが特徴であった。即ち、IgA腎症患者は、S.aureusに対して高抗体価を産生すhigh responderでありながら、産生されるIgAはlow avidityであり、そのことが免疫系を介する抗原物質の除去機構を免れての腎糸球体へのIgA免疫複合体沈着と持続の要件である可能性が示唆された。 S.aureusはenterotoxinを産生し、enterotoxinがヒトT細胞に対してsuperantigenとして作用することが知られている。そこで、本年度はIgA抗体が腎糸球体に沈着するIgA腎症、紫斑病腎炎およびMRSA腎炎患者について、Fluorescence activated cell sorter (FACS)、特にthree color analysisを用いて、様々なT細胞活性化様式ならびにT細胞を代表とする免疫状態を表すeffecter T cellsの活性化状態について解析を行った。 糸球体腎炎では、それぞれの病型により、T細胞活性化機序が異なることが判明した。一般抗原が関与する腎炎では、一般にmonoclonalなTCRV βT細胞のexpansionが生じ、特異抗体が産生され、対応抗原と結合し、腎炎惹起性の免疫複合体が形成されるものと考えられる。 一方、スーパー抗原によりT細胞が活性化するものは、polyclonalなTCRV βT細胞がexpansionし、非常に多くのリンパ球が活性化され、腎炎惹起性の免疫複合体が形成され、MRSA感染後腎炎、あるいは紫斑病性腎炎として発症するものと考えられた。 IgA腎症では、T細胞subsetsでは、DR^+CD4^+T細胞が有意に増加し、CD25+^CD4^+T細胞(制御性または活性化T細胞)が有意に増加しており、また、CD45RO^+CD4^+T細胞が有意に増加した。しかし、T細胞の活性化様式には顕著な変化は認められなかった。その臨床的発症・進展経過から、多くは一般抗原が、一部はスーパー抗原が関与し、大多数の症例ではmildで慢性的な抗原刺激により病態を形成すると考えられた
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Research Products
(7 results)