2010 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎臓病進展におけるTRPC6、NFκB、NFATの分子連関の役割の解明
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20590961
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 松彦 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60129608)
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Keywords | 慢性腎臓病 / NFκB / NFAT |
Research Abstract |
(1)慢性腎障害モデル動物におけるNFκB、NFAT、TRPC6の役割の検討 片腎摘出後抗Thy1.1抗体-回投与慢性腎炎モデルラットにおいて、抗体投与8週後まではNFκB阻害薬(IMD-1041)投与群で有意の尿蛋白減少と血圧の低下が見られたが、10週後には抗体単独群と有意差を認めなかった。抗体投与10週後の腎でのNFκB活性は抗体単独群でIMD-1041投与群と比べ高い傾向を認めたが、有意ではなかった。また、NFAT活性、TRPC6のmRNA発現量は、対照群、抗体単独群で有意差を認めず、このモデルにおける腎障害にはNFAT活性化、TRPC6発現変化は関与しないことが示された。一方、アルドステロン持続投与・食塩負荷ラットではIMD-1041は著効し、腎障害の進展を抑制し、ACE2発現を正常化した。アルドステロンの腎障害においてNFκB活性化が重要な役割を果たすことが示された。 (2)dnNFATとTRPC6の足細胞特異的過剰発現マウスによる検討 TRPC6過剰発現マウスを作成、mRNA発現は明らかな増加を示すものの、蛋白発現量は少ない2系統が得られ、アンジオテンシン負荷、アルドステロン負荷を行ったが、野生型と比べ腎障害の程度に差は無かった。TRPC6蛋白発現量が多くないことに起因すると考えられ、新たな強制発現マウスを作成する必要があると考えられた。 (3)血管石灰化におけるNFATの役割の検討 培養平滑筋細胞を用いて、高リン培地、高カルシウム培地、IL-6、LPSの各添加下において細胞の石灰化を各々検討した。いずれの培地においても石灰化が見られたが、NFκB阻害薬(IMD0354)、NFAT阻害薬(cyclosporin)のいずれも石灰化に有意の影響を与えなかった。一方、透析患者における慢性炎症が高リン血症と相加的な作用により血管石灰化を促進することが明らかとされた。
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Research Products
(2 results)