2008 Fiscal Year Annual Research Report
ネフローゼ発症に関わる糸球体構成細胞間シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
20590964
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
栗原 秀剛 Juntendo University, 医学部, 准教授 (80311976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 建雄 順天堂大学, 医学部, 教授 (90114488)
市村 浩一郎 順天堂大学, 医学部, 助教 (10343485)
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Keywords | 足細胞 / スリット膜 / シグナル伝達 / メサンギウム細胞 / SIRP / CD47 / 腎炎 |
Research Abstract |
本年は糸球体構成細胞に発現が認められたSIRPα-CD47系が足細胞の形態変化にどのような影響を及ぼすかについて病態モデル動物を用いて解析することを目的とした。 申請者らは硫酸プロタミン(PS)で腎臓を灌流することでスリット膜領域の分子がチロシンリン酸化を受けることを見いだしている。このPS灌流腎を用いて足細胞に発現するSIRPαのチロシンリン酸化の変化をリン酸化特異抗体(東大医科研と共同で作成Y501)を用いて調べた結果、PS灌流によりSIRPαのチロシンリン酸化が著しく低下することが分かった。それに反して、スリット膜分子ネフリンは強くチロシンリン酸化が起こる。SIRPαはネフリンと直接結合することが判明したことから、SIRPαの脱リン酸化によりSHP2が膜から遊離することでネフリンのリン酸化を促進している可能性が示唆された。また、足細胞傷害を起こすPAN腎症モデルにおいてSIRPαは蛋白尿が認められる時期に一致して脱リン酸化することが分かった。SIRPαの発現量はPAN腎症モデルでは一定であった。 申請者らはメサンギウム細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体E30をラットに投与することによりThy1.1腎炎が惹起されることを報告している。この実験モデルを用いることにより、メサンギウム細胞が補体依存的に傷害された後にSIRPαのリン酸化に変化があるかどうかを免疫沈降法とイムノブロット法により解析した結果、E30抗体投与後、メサンギウム細胞が消失するday1に著しいSIRPαの脱リン酸化が起こることを見いだした。足細胞膜表面でメサンギウム細胞から遊離したCD47のシグナルを免疫電顕で観察しており、CD47がSIRPαに結合して脱リン酸化を引き起こしている可能性を強く示唆した。また、CD47のメサンギウム細胞での発現は増殖細胞で低下していることも明らかになった。
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Research Products
(7 results)