2010 Fiscal Year Annual Research Report
ネフローゼ発症に関わる糸球体構成細胞間シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
20590964
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
栗原 秀剛 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80311976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 建雄 順天堂大学, 医学部, 教授 (90114488)
市村 浩一郎 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10343485)
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Keywords | 足細胞 / スリット膜 / シグナル伝達 / メサンギウム細胞 / 腎炎 |
Research Abstract |
申請代表者はSIRP-α-CD47系が糸球体構成細胞間、特に足細胞とメサンギウム細胞間でのシグナル伝達に関与していることを見いだした。本研究ではSIRPα-CD47系が腎症発症に伴い観察される足細胞の形態変化にどのような役割を演じているかについて病態モデル動物および培養細胞を用いて解析することを目的として研究を展開しており、本年度は以下のような実験を計画し実施した。 1) SIRPαは脱リン酸化酵素であるSHP1/2を細胞膜にリクルートする働きがある。しかしながら、足細胞においてSHP1/2がどのような局在をしているかは明らかではない。本年度は、糸球体におけるSHP1/2の局在を明らかにし、SIRPαとの関係を詳細に解析した。その結果、SHP1は糸球体メサンギウムにある一部の細胞に発現していた。一方、SHP2は糸球体基底膜に沿った局在を示しており、足細胞マーカーを用いた検討により、SHP2は足細胞に発現していることを確認した。さらに、SHP2とSIRPαとの共局在を調べた結果、両分子の局在は完全に一致していた。また、正常ラットにおいてSHP2はリン酸化されており、Thy1.1腎炎モデルを用いてメサンギウム細胞傷害を惹起した後、脱リン酸化されることを見いだした。 2) SIRPαはスリット膜分子ネフリンと直接結合することが明らかになった。昨年度の研究により、5-1-6腎症において5-1-6抗体が結合したネフリン分子は尿腔側に移動し、処理されることを見いだしている。本年度は5-1-6腎症におけるネフリン分子の移動にSIRPαがどのような役割を演じているかについて免疫電顕を含めた超微形態学的手法により詳細に検討した。その結果、抗体が結合したネフリンが尿腔側に移動する際に、SIRPαの一部はネフリンと挙動を共にすることを確認した。以上の内容の一部は米国生理学会誌と学会で報告した。
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Research Products
(13 results)