2011 Fiscal Year Annual Research Report
ネフローゼ発症に関わる糸球体構成細胞間シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
20590964
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
栗原 秀剛 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (80311976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 建雄 順天堂大学, 医学部, 教授 (90114488)
市村 浩一郎 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10343485)
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Keywords | 足細胞 / スリット膜 / シグナル伝達 / メサンギウム細胞 / 腎炎 |
Research Abstract |
申請代表者はSIRPα-CD47系が糸球体構成細胞間、特に足細胞とメサンギウム細胞間でのシグナル伝達に関与していることを見いだした。本研究ではSIRPα-CD47系が腎症発症における足細胞の形態変化にどのような役割を演じているかについて病態モデル動物および培養細胞を用いて解析することを目的として研究を展開しており、本年度は以下のような実験を計画し実施した。 1)SIRPαは脱リン酸化酵素であるSHP1/2を細胞膜にリクルートする働きがある。これまでの解析から糸球体足細胞にはSHP2が特異的に発現しており、SIRPαと共局在していることが明らかとなった。SIRPαはネフリンと直接結合することが明らかとなったため、SHP-2のネフリン脱リン酸化への関与についてSHP-2阻害剤を用いて調べたところ、SHP-2を阻害するとネフリンのリン酸化は増強することが分かった。このことから、スリット膜基部においてネフリン、SIRPαとSHP-2が複合体を形成し、ネフリンのリン酸化を抑制しており、SIRPαとSHP-2の解離によりネフリンのリン酸化が増強することが示唆された。 2)PAN腎症においてネフリンとSIRPαのシグナルが減少することが見いだした。免疫電顕による詳細な検討から、SIRPαは細胞内、特にエンドソーム内に局在しており、細胞膜でのSIRPαの低下はスリット膜の安定化に影響を及ぼしていることが考えられた。これについて現在検討中である。 3)SIRPα-CD47系を介した細胞間シグナル伝達が足細胞に及ぼす影響について、特に細胞骨格系の変化を調べる目的で、種々の細胞骨格蛋白について解析を行ったところ、PAN腎症においてmyosinIIAのシグナルが減少しており、細胞の形態変化に関わる分子であることが示唆された。そこで腎組織と培養細胞を用いてmyosinIIAの局在を調べたところ、myosinIIAは中間径線維と共局在することが明らかになった。 MyosinIIAの機能を調べるために培養細胞を用いて解析し、myosinIIAが足突起形成とその安定化に重要な役割を演じていることが分かった。
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Research Products
(5 results)