2010 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎不全でのヘプシジン発現制御機構の解明ー骨髄造血関連因子の影響ー
Project/Area Number |
20590966
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
友杉 直久 金沢医科大学, 付置研究所, 教授 (80155580)
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Keywords | ヘプシジン-25 / 骨髄造血機能 / 骨髄造血由来因子 |
Research Abstract |
骨髄造血機能に障害を与える様々な因子の関与を、血清hepcidin-25の発現で評価できるシステムを開発することを目的として研究を進めてきた。 1、IL-6とhepcidin-25:骨髄造血機能以外のhepcidin制御因子がIL-6の関与する炎症である。そこで、IL-6産生腫瘍であるCastleman病、およびサル関節炎での、IL-6受容体抗体の効果をhepcidin-25の推移から評価した。 【成果】Castleman病では、IL-6受容体抗体によりhepcidin-25は早期に低下し、その後貧血と自覚症状は徐々に改善した。培養実験においても、IL-6で誘導されるHepG2のhepcidin-25産生は、IL-6受容体抗体で完全に抑制された。同様の効果は、サル関節炎においても観察された。 【意義】Castleman病では、血清hepcidin-25値がIL-6受容体抗体治療の予後を反映している。IL-6受容体抗体の有効投与量は、hepcidin-25値での判定できることが判明した。 【重要性】病因となるIL-6産生そのものを抑制しなくても、その受容体との反応が阻止されれば、hepcidin-25を介した炎症の悪性循環が改善することが確認された。 2、特発性および二次性鉄過剰症:鉄過剰症における、鉄代謝制御系の反応性を検討するため、日本、イタリアの遺伝性ヘモクロマトシス患者、フェロポルチン病、二次性鉄過剰症の血清hepcidin-25を解析した。 【成果】フェロポルチン病、二次性鉄過剰症ではフェリチンに応じたhepcidin-25高値を呈したが、遺伝性ヘモクロマトシス患者ではフェリチン高値にもかかわらず著名なhepcidin-25低下を認めた。 【意義】hepcidin-25値は鉄過剰症の診断に有効であることが判明した。 【重要性】二次性鉄過剰症では、hepcidin-25産生が亢進するため網内系からの鉄供給が抑制されており、その結果として骨髄造血機能が低下するものと推測された。
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