2008 Fiscal Year Annual Research Report
心腎連関における非対称性ジメチルアルギニンの役割の解明
Project/Area Number |
20590969
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
上田 誠二 Kurume University, 医学部, 講師 (80322593)
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Keywords | 心腎連関 / 慢性腎臓病 / 内皮障害 / ADMA |
Research Abstract |
慢性腎臓病(CKD)患者では心血管病(CVD)が多発し、「心腎連関」なる概念が想定されている。この連関を解くひとつの鍵として非対称性ジメチルアルギニン(ADMA)の存在が挙げられる。ADMAは内因性のNO合成酵素阻害物質であり、CKD患者で著明に上昇し、血管内皮障害やCVDの良いバイオマーカーとなり得る可能性が示唆されている。しかしながら、CKDで蓄積したADMAが真に生理活性を有するか否かは不明である。申請者らはこの疑問を解消するため、CKD動物モデルを作成し、(ADMAの代謝酵素を強発現させ、)ADMAを低下させた場合の病態への影響につき検討中である。CKDモデルでADMAは、高血圧、心肥大(心重量、左室壁厚で評価)の程度とよく相関し、ADMAを低下させると、これらの因子が著明に改善することが明らかとなった。また、ADMAを低下させた群では、降圧薬投与群と比較しても心肥大は明らかに抑制されていた。以上のことより、CKDで内因性に蓄積したADMAは血圧とは独立した心肥大の進展因子である可能性が高いと考えられる。現在、如何にADMAが心肥大を促進するのか、その詳細な機序を検討中である。(ADMAの心肥大の機序のひとつとして、微小血管網を障害することによる心筋細胞の虚血の関与が考えられる。この仮説を検証するために、現在ADMAと心組織におけるcapillary densityとの関連を比較している。) 心肥大はCKD患者において高頻度で観察され、重要な予後の規定因子であることがわかっており、この機序としてのADMAの関与を明らかにすることは、CVD患者の新規治療法確立にも有用と考えられる。
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Research Products
(5 results)