2008 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランディンE2-EP4受容体経路活性化による食塩感受性治療の可能性
Project/Area Number |
20590973
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
守山 敏樹 Osaka University, 保健センター, 教授 (30283815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 典孝 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (80437326)
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Keywords | COX-1 / ENac / Akt / Sgk-1 / PKA |
Research Abstract |
本研究では、COX-1遺伝子欠失マウスの食塩感受性の原因として、ProstaglandinE_2(PGE_2)低産生に着目し、特に4種類存在するPGE_2の受容体(EP_1〜EP_4)のうち、EP_4受容体が食塩感受性に関与する可能性を解析することを目的とする。EP_4受容体遺伝子欠失マウスは食塩感受性を示すことが報告されているが、現在のところその機序は不明である。我々はこれまでに、EP_4受容体作動薬が腎皮質集合管Na輸送体(ENaC)mRNA発現低下とENaC活性制御因子であるAkt,Sgk-1のリン酸化低下を介して腎皮質集合管のナトリウム再吸収を抑制する可能性を明らかとした。さらに、EP_4受容体作動薬によるbeta-およびgamma-ENaC mRNA発現低下へのProtein kinase A(PKA)によるERK活性化の関与、そしてAktのリン酸化低下へのPKA活性化の関与を明らかとした。興味深いことに、PP1およびPP2A阻害薬であるオカダ酸を用いた検討から、このPKAによるAktのリン酸化低下はPhosphoinositide 3-kinase(PIP3K)の活性低下ではなく、phosphataseの活性化を介した反応である可能性が示されている。一方、EP_4受容体作動薬によるalpha-ENaC mRNA発現低下およびSgk-1リン酸化低下機序は不明であり、今後EP_4受容体とMAPK系(ERK,p38,JNK)の関係について検討を行う予定である。来年度以降、糖尿病モデルへのNSAIDs投与による水・ナトリウム貯留モデルの作成、そして同病態に対するEP_4受容体作動薬の治療薬としての可能性についても検討を行う予定である。
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