2009 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランディンE2-EP4受容体経路活性化による食塩感受性治療の可能性
Project/Area Number |
20590973
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
守山 敏樹 Osaka University, 保健センター, 教授 (30283815)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 典孝 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (80437326)
|
Keywords | COX-1 / ENac / Akt / Sgk-1 / PKA |
Research Abstract |
本研究では、COX-1遺伝子欠失マウスの食塩感受性の原因として、ProstaglandinE_2(PGE_2)低産生に着目し、4種類存在するPGE_2の受容体(EP_1~EP_4)のうち、特にEP_4受容体の水・電解質制御への関与を解析することを目的とする。我々は、ラットへのEP_4受容体作動薬投与が血清アルドステロン濃度を上昇させること、一方で、尿量を低下しTTKG(Transtubular K gradient)やFEK(Fractional excretion of K)を低下させること、そしてcAMPは腎皮質集合管Na輸送体(ENaC)のtraffickingを介してNa輸送を亢進することが報告されているにも関わらず、EP_4受容体作動薬投与によりFENa(Fractional excretion of Na)は低下しないことを示した。さらに、その機序の一つとして、EP_4受容体活性化に伴うアデニル酸シクラーゼの活性化によるcAMPの増加が、MKP-1(MAP kinase phosphatase-1)の増加とp38MAPK抑制を介して、ENaC活性の制御リン酸化酵素であるAktとSgk-1のリン酸化を抑制している可能性を示し、現在論文を投稿中である。EP_4受容体の尿量低下作用は、cAMPを介したAQP2の活性化によるものであることがすでに報告されている。 以上の検討より、EP_4受容体作動薬は集合管レベルではアルドステロン経路に抑制的に、バゾプレシン経路に促進的に働くことで水・電解質の制御に関与する可能性が示された。皮質集合管細胞でのcAMPの作用機序の一つを明らかとしたこと、そして、脱水と低K血症を合併するバーター症候群へのEP_4受容体作動薬の応用の可能性も今後期待されることから、本研究のもつ意義は大きい。
|