2009 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎臓病ミネラル骨代謝異常症(CKD-MBD)退縮をめざした実験的研究
Project/Area Number |
20590985
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
秋澤 忠男 Showa University, 医学部, 教授 (40102339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝渕 正英 昭和大学, 医学部, 助教 (90465203)
緒方 浩顕 昭和大学, 医学部, 講師 (30296959)
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Keywords | 慢性腎不全 / 二次性副甲状腺機能亢進症 / 線維性骨炎 / 異所性石灰化 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
5/6腎摘腎不全ラットを高P (1.2%)、低Ca (0.4%)食にて10週間飼育し、PTHの上昇と副甲状腺腫大、線維性骨病変、血管石灰化を呈するCKD-MBDモデルを作成、これに塩酸セベラマー経口投与、maxacalcitol副甲状腺内局注後静脈内投与、calcimimetics経口投与の治療的介入を行い、血管石灰化の退縮について検討した。血管石灰化の評価には大動脈を用い、血管平滑筋細胞石灰化、同細胞の形質転換についての免疫組織学的検索(von Kossa染色、core binding factor-α1 (Cbfa1、Runx2),アルカリフォスファターゼ、オステオカルシン、オステオポンチンなど)を行い、併せて異所性石灰化と血管平滑筋細胞のエラスチン代謝との関連を、血管平滑筋細胞培養系を用いて検討した。その結果、塩酸セベラマー経口投与では、血清リン濃度が生理的レベルに低下・維持されたにもかかわらず、一旦形成された異所性石灰化の退縮は認められず、退縮をもたらすには、非生理的レベルまでの血清リン濃度抑制が必要と考えられた。maxacalcitol副甲状腺内局注後静脈内投与の継続で、腫大した副甲状腺は縮小し、副甲状腺(PTH)濃度も大幅に低下したが、異所性石灰化の退縮は認められなかった。calcimimeticsの経口投与では、投与量に依存してPTHと血清リン、カルシウムの低下がみられ、低カルシウム血症の発現から大量投与は困難であった。可能であった投与量内では、異所性石灰化部位の明らかな退縮は観察されなかった。一方、培養実験ではエラスチン分解が異所性石灰化(血管平滑筋細胞の骨芽細胞様細胞への形質転換)に関与し、これが高リン血症で促進されることが新たに明らかとなった。以上の結果から、生理的レベルへの血清リン濃度抑制や中等度のPTH制御では異所性石灰化を退縮させることは困難で、今後より強力な血清リン、PTH抑制効果の検討や、石灰化と密接な関連をもつことが明らかとなったエラスチン代謝の制御方法解明の重要性が示された。
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