2010 Fiscal Year Annual Research Report
尿細管における細胞外無機リン酸シグナル応答性分子機構とFGF23感受性規定因子
Project/Area Number |
20590986
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Maternal and Child Health |
Principal Investigator |
道上 敏美 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), 環境影響部門, 部長 (00301804)
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Keywords | 無機リン酸 / FGF23 / Klotho / シグナル伝達 / ナトリウム・リン酸共輸送担体 |
Research Abstract |
FGF23は骨で産生され、標的臓器である腎臓において、FGF受容体及びKlothoと複合体を形成することによりリン酸排泄量を増加させるendocrine FGFであるが、血清リン値と血中FGF23レベルとの間の相関は必ずしも明確ではない。近年、細胞外無機リン酸濃度変化が骨芽細胞などでシグナルとして作用し、遺伝子発現を変化させることが示唆されているところから、細胞外無機リン酸そのものがシグナルとして尿細管細胞に作用し、FGF23に対する感受性に影響を与える可能性について検討した。低レベルながらKlothoを発現しており、FGF23に応答性を示すヒト胎児腎臓由来細胞株HEK293細胞を実験に用いた。FGF23の添加及び細胞外液中の無機リン酸濃度の上昇はともにERK1/2のリン酸化、early growth response-1(Egr-1)遺伝子の発現誘導をもたらし、FGF23シグナルと細胞外無機リン酸惹起シグナルが下流のネットワークを共有する可能性が示唆された。siRNAを用いたノックダウン実験により、HEK293の細胞外無機リン酸応答性にはIII型ナトリウム・リン酸共輸送担体であるPiT-1が関与することが明らかとなった。また、ナトリウム・リン酸共輸送担体阻害剤の存在下ではFGF23に対する応答性は減弱した。FGF23シグナルと細胞外無機リン酸濃度の上昇により惹起されるシグナルはともにFGF receptor substrate 2α(FRS2α)のリン酸化をもたらしたことから、リン酸刺激で惹起されるシグナルの伝達にFGF受容体(FGFR)が関与する可能性を検討したところ、PiT-1のノックダウンによる細胞外無機リン酸応答性の減弱はFGFRの過剰発現により回復した。以上より、HEK293の細胞外無機リン酸応答性には、PiT-1とFGFRが関与することが示唆され、細胞外リン酸濃度がFGF23感受性に影響を及ぼすことが示された。
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