2010 Fiscal Year Annual Research Report
水晶体におけるアミロイドβ蛋白の解析と認知機能との相関に関する研究
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20590987
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
玉岡 晃 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (50192183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨所 康志 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (80447250)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 / 水晶体 / 白内障 / 認知症 / αBクリスタリ |
Research Abstract |
アルツハイマー病(Alzheimer's disease;AD)患者の剖検水晶体におけるアミロイドβ蛋白(Aβ)の蓄積が報告された[Goldsteonら,Lancet 2003]が,白内障手術検体を含め,水晶体中のAβの定量法は未確立である.本年度は非認知症患者における白内障水晶体中のAβの抽出方法およびELISAによる定量化を更に検討した.ウエスタンブロッティングでは、主にAβダイマーが確認された。4G8と6E10の混合抗体では、ウエスタンプロッティングのシグナルは非常に弱く、抗Aβ(1-42)C末端特異抗体ではより強いシグナルが確認された。今回の水晶体試料は上清中にAβが残存していた可能性があり、全眼水晶体試料を用いて、回収時の遠心条件を想定した検討を行った。その結果は、48Krpmの超遠心に比べ低速(3K、6Krpm)ではAβがそれぞれ48%、16%程度上清に残存していた。今回検討に用いた白内障水晶体試料はいずれも非認知症患者のものであったが、白内障の乳白濁度が増加した水晶体では、Aβが有意に蓄積しており、認知症発症以前から水晶体中にAβが蓄積する可能性が示唆された。年齢別の比較では、年齢が増加するに従ってAβが増加する傾向がみられたが、年齢とグレード別間では相関はみられず、年齢による早期診断への影響は無視できるものと考えられた。ウエスタンブロッティングでのAβの確認試験では、Aβダイマーの存在が確認された。また、4G8と6E10の混合抗体での反応性が悪かったことより、4G8と6E10のエピトープ近傍に存在するアスパラギン酸が、ラセミ化を起こし、立体構造が変化している可能性が示唆された。αBクリスタリンなどの水晶体中の他のタンパクは同様に、白内障水晶体中のAβはラセミ化やイソ化などの翻訳後修飾や重合が進んだ状態で存在している可能性が示唆された。
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Research Products
(10 results)