2010 Fiscal Year Annual Research Report
クロウ・深瀬症候群に対する新規治療法の開発と病態解析
Project/Area Number |
20590988
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
桑原 聡 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70282481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 雅裕 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (70345023)
金井 数明 千葉大学, 医学部付属病院, 助教 (10375751)
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Keywords | クロウ・深瀬症候群 / 神経免疫学 / 自己末梢血幹細胞移植 / サリドマイド |
Research Abstract |
クロウ・深瀬症候群の新規治療法として、「65歳以下の患者には自己末梢血幹細胞移植を伴う大量化学療法(以下Auto-PBSCT)、66歳以上の患者にはサリドマイド療法」という指針のもとに、36名の本症候群患者に対して、Auto-PBSCTを21名に、サリドマイド療法を15名に施行した。Auto-PBSCT療法は劇的な臨床効果を示し、浮腫、胸・腹水、皮膚症状め改善に加えて神経症状(末梢神経障害による四肢筋力低下)の著明な改善が得られた。このような神経症状の回復は従来療法であるメルファラン。プレドニゾロンによる化学療法では得られないものであった。治療後3年の観察期間においてこれらの症状改善は継続しでいた。サリドマイド療法群においても観察期間約3年で12名に臨床症状の改善、3名で症状の進行停止が得られ、一定の臨床効果が認められた。これら2つの新規治療法の有効性を確認できた意義は大きく、これまで本症候群に対する治療の主流であったメルファランによる化学療法よりも、より臨床効果が高いことが示されたことから、Auto-PBSCTおよびサリドマイド療法は今後本症候群に対する治療の中心的役割を果たしていく可能性が高くなった。今後この2つの治療法を中心とした治療ガイドラインが作成され、より有効な治療として臨床応用される基盤としてのデータを構築したと言える。 またサリドマイド療法の有用性に関するエビデンス構築を目的として2010年10月から多施設共同プラセボ対照群間比較医師主導治験を開始し、現在進行中である。
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