2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590991
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河内 泉 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (40432083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊島 靖子 新潟大学, 脳研究所, 助教 (20334675)
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Keywords | 多発性硬化症 / 視神経脊髄炎 / 粘膜免疫 / innate T細胞 / interleukin-17 / 中枢神経系脱髄疾患 |
Research Abstract |
多発性硬化症(MS)と視神経脊髄炎(NMO)は,再発・寛解を繰り返す中枢神経系脱髄疾患である。中枢神経系脱髄疾患はクローン病と同様に飛躍的に有病率が増加しており,発症機転には「衛生状態の改善などの環境要因が腸管の巨大な常在細菌叢プールに変化をもたらし,結果,多数のリンパ球が集族している粘膜で免疫応答が変化し,発症誘導している」可能性が提唱されている(衛生仮説)が,実証に至っていない。そこで「粘膜」に多数局在し,自然免疫と獲得免疫の橋渡しをするinnate T(iT)細胞とinterleukin-17(IL-17)産生細胞の両者に焦点をあて,「中枢神経系脱髄疾患と粘膜免疫機構の関連」について検討した。1.MSにおいてiT細胞を多く含むdouble negative T(DNT)分画ではIL-17産生細胞が存在する。2.MS再発期ではIL-17産生細胞およびIFN-γ産生細胞両者の頻度が寛解期に比較して増加しており,MS再発期のDNT分画にはdouble producer(IFN-Y+/IL-17+)が存在している可能性が示唆される。3.MSではT_H-17系列のマスターレギュレーター分子であるRORγt分子の発現がMSのDNT分画で高値である。4.MSの標的臓器である脊髄でIL-17およびIFN-γ産生細胞が浸潤している。5.NMOの標的臓器である脊髄においてもIL-17およびIFN-γ産生細胞が浸潤している。6.MSの髄膜にはリンパ濾胞類似構造を形成するが,NMOの髄膜には存在しない。以上より,MSには「IL-17を産生する特異なDNT細胞分画」が存在することを新たに見出した。DNT分画はγδT細胞をはじめとしたiT細胞を多く含む分画であり,さらにiT細胞群には粘膜集積性の高い細胞系列が存在することから,MSと粘膜免疫の関係性の一端を見ている可能性が示唆された。一方,MSとの異同が盛んに議論されているNMOでは中枢神経内に盛んなリンパ球浸潤とIL-17産生細胞が存在するものの,髄膜のリンパ濾胞類似構造は欠落しており,自己免疫病態の形成と維持においてMSとNMOは異なるスペクトラムを有する疾患である可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)