2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590997
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北川 一夫 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (70301257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木田 佳樹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20403066)
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Keywords | 脳虚血 / 慢性低潅流 / 側副血行 / 高血圧 / アンジオテンシンII受容体拮抗薬 |
Research Abstract |
ラット一側総頸動脈閉塞後の中大脳動脈閉塞に対する脳梗塞サイズ縮小効果を正常血圧ラット、高血圧自然発症ラットで検討した。正常血圧ラットでは総頚動脈閉塞2週間後に同側中大脳動脈を閉塞すると、偽手術群に比し中大脳動脈閉塞に伴う脳梗塞体積が縮小した。しかし高血圧自然発症ラットでは総頸動脈閉塞による慢性低潅流負荷は中大脳動脈閉塞による脳梗塞サイズを縮小しなかった。 正常血圧ラット、高血圧自然発症ラットでの慢性低潅流負荷による効果の差異の原因を探るため、両者において中大脳動脈閉塞に際する脳皮質血流低下率をレーザードプラ血流計を用いて計測した。 正常血圧ラットでは、中大脳動脈閉塞による血流低下率が偽手術群に比べ総頸動脈閉塞群で有意に軽減されているのに対して、高血圧自然発症ラットでは血流低下率は偽手術群、総頸動脈閉塞群ともに同程度であった。また高血圧自然発症ラットでレニンアンジオテンシン系を阻害し血圧を低下させた場合の効果を検討するため、総頸動脈閉塞後オルメサルタンを連日経口投与した。オルメサルタン経口投与により、血圧が低下するとともに中大脳動脈閉塞に際する脳血流低下率が軽減し、脳梗塞サイズが縮小することが観察された。 以上の結果より持続的な高血圧は慢性低潅流負荷により脳軟膜動脈吻合血管の発達を阻害し、アンジオテンシンII受容体拮抗薬の投与により降圧治療を行うと、脳軟膜動脈吻合の発達が促進され、中大脳動脈永久閉塞後の脳梗塞サイズ縮小に寄与することが明らかになった。
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