2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590997
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北川 一夫 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70301257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木田 佳樹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20403066)
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Keywords | 脳虚血 / 側副血行 / 血管新生 / 高血圧 / 慢性低灌流 / 造血因子 |
Research Abstract |
研究の全体構想は、脳主幹動脈閉塞に起因する慢性低潅流脳において内因性に誘導される脳側副血行路発達(Arteriogenesis)のメカニズム、調節因子を解明することである。本年度はマウス一側総頸動脈閉塞後に発達する脳軟膜動脈吻合での側副血行路発達が造血因子顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の全身投与により促進させることを明らかにし、その分子機構として流血中での単核球数増加、脳表面への単核球数集積増加を介していることを5フルオロウラシルによる白血球枯渇の影響から示した。またG-CSFは低用量の10μg/kg/dayの投与で、側副血行発達に有効であり、現在ヒト臨床で使用されている用量でも効果が期待できることを明らかにした。 また高血圧自然発症ラットを用いて高血圧の脳軟膜動脈での側副血行発達への影響を検討した。正常血圧ラットではマウス同様に一側総頸動脈閉塞により脳軟膜動脈での側副血行発達が観察されるが、高血圧自然発症ラットではその発達が阻害されていた。しかしアンジオテンシンII受容体拮抗薬を高用量経口投与して降圧治療を行うと側副血行発達促進効果が回復していた。ヒト臨床例においても高血圧症例では脳主幹動脈閉塞後の側副血行発達が不良であることが血管造影検査を用いた検討から報告されており、本研究結果は脳主幹動脈閉塞・狭窄を有する症例では高血圧治療を厳格に行うことにより、脳卒中発症再発を予防するだけでなく仮に脳梗塞が発症しても梗塞サイズが軽減することを示しているものと考えられる。
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Research Products
(4 results)