2009 Fiscal Year Annual Research Report
ミオトニー症候群-Naチャネル病と筋強直性ジストロフィー症-の病態解明
Project/Area Number |
20590998
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 正紀 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (20359847)
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Keywords | 筋疾患 / ナトリウムチャネル / イオンチャネル / 骨格筋 / シミュレーション / パッチクランプ / mRNA / スプライシング |
Research Abstract |
本研究はミオトニー症候群、とくに骨格筋Naチャネル病(先天性パラミオトニー、高カリウム性周期性四肢麻痺など)および筋強直性ジストロフィー症の病態を細胞・組織レベルで理解し、治療研究へ結びつけることを目的としている。計画にはなかったものの、本年度の特筆すべき成果は、世界で初めてイントロン領域の遺伝子変異によるミオトニーの症例を同定しえたことである。遺伝子異常の発見にとどまらず、生検筋mRNAの解析を行いスプライシング異常が生じること見出し、さらにスプライシング変異体チャネルの培養細胞を用いた発現・機能解析実験を行い、チャネルが実際に発現機能すること、また症状を説明しうる速い不活性化の異常を示すことまで明らかにした。さらに昨年度構築したHodgkin-Huxleyモデルを主体にしたプログラムでシミュレーションを行い、病態を再現できることを確認し、病態の全容を解明した。なお、変異が存在するイントロンはスプライシング制御機構がまだ未解明なAT-ACIIイントロンと呼ばれる特殊なイントロンであることから、スプライシング異常の分子メカニズムの解析を行い、AT-ACIIイントロンのスプライシング制御機構を解明しようと海外との共同研究を開始している。 いっぽうで予定した計画も確実に進めている。コンピューターシミュレーションは、種々の実験データを適用し妥当性の検討を行うとともに、骨格筋のユニークな細胞膜構造であるT管の機能についてのシミュレーション研究も行った。筋強直性ジストロフィーにおけるチャネル発現・機能の解析も引き続き行い、昨年度見出したカルシウム依存性カリウムチャネルの一種であるSK2チャネルの新たなスプライシング変異についてもマウスでの解析を進め、正常マウスでも網膜・脳などに豊富に認められることなどを明らかにすることができた。
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