2010 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-betaタイプI受容体に対する筋ジストロフィー分子標的治療法の開発
Project/Area Number |
20591013
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
大澤 裕 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80246511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂田 芳秀 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00240713)
村上 龍文 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (30330591)
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Keywords | 筋ジストロフィー / 再生医療 / シグナル伝達 / 発生・分化 / 神経科学 |
Research Abstract |
骨格筋特異的TGF-βファミリー分子であるmyostatinは骨格筋量を負に制御する。本研究はmyostatinの細胞膜serine/threonineキナーゼ受容体を標的とする低分子阻害薬(Tβ RI kinase inhibitor)によって筋ジストロフィーの分子標的治療法を開発することを目的とする。平成20年度の研究によりこの低分子阻害薬がmyostatinのin vitro転写活性を強力に抑制することを確認した。次いで平成21年度には阻害薬を筋ジストロフィーモデルマウスに経口投与し血清のmyostatinの転写活性が抑制され筋ジストロフィー病変が改善することを示した。本年度はこの改善の分子機構について2つのアプローチで解析した。まずC2C12筋芽細胞は低血清培地によって多核化し筋管細胞へ分化することが知られているが、この系に低分子阻害薬を添加すると有意な分化促進が認められた。そこでC2C12細胞にmyostatin及び関連TGF-βファミリー分子であるTGF-β1とAcdvin Aをレトロウイルスで導入した。導入細胞は低血清分化系でそれぞれ著明な分化抑制が認められたが、低分子阻害薬添加によって完全に回復した。更にモデルマウス骨格筋の解析から、阻害薬経口投与によって筋前駆細胞である筋衛星細胞数が増加することが明らかとなった。以上の検討から低分子阻害薬はマイオスタチンばかりでなくTGF-β1とActivin Aの細胞内シグナルをも抑制して筋芽細胞及び筋衛星細胞のレベルで筋分化を促進するという分子機構が示された。従ってこの低分子阻害剤は筋ジストロフィーばかりでなく筋消耗性疾患全般に対する筋萎縮改善作用があると思われた。
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Research Products
(3 results)