2008 Fiscal Year Annual Research Report
認知症脳におけるタウ蛋白リン酸化・脱リン酸化酵素複合体に関する病態解析
Project/Area Number |
20591024
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川又 敏男 Kobe University, 保健学研究科, 教授 (70214690)
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Keywords | 認知症 / 細胞内シグナル伝達 / タウ蛋白 / 蛋白リン酸化酵素 / 蛋白脱リン酸化酵素 / 神経細胞変性 |
Research Abstract |
アルツハイマー型認知症(AD)や、タウ病としても分類される非アルツハイマー型を含めた認知症の患者脳組織には、タウ蛋白が異常代謝され重合した神経原線維変化(タングル)が形成される。タングル数はADで認知症程度との相関を認め、タウ蛋白代謝異常は神経細胞変性との関連が推定されている。その異常代謝の初期段階にはタウの異常かつ過剰なリン酸化が報告されており、本研究ではタウ分子のリン酸化・脱リン酸化バランスや反応部位の破綻という視点から、リン酸化酵素・脱リン酸化酵素複合体や同活性複合体の機能を修飾する分子の細胞内局在・シグナル伝達の変化を解析した。 まずリン酸化修飾により活性型あるいは不活性型となる重要な蛋白リン酸化酵素・脱リン酸化酵素分子や、それらの機能を修飾する細胞内分子(巨大scaffold蛋白やpeptidyl-prolyl isomerase(PPIase)など)に対する特異抗体を調整した。その後ヒト脳組織に対して、高感度免疫組織化学法(酵素抗体法および共焦点顕微鏡観察法と併用する蛍光抗体法)を用いて、PKC・PKBをはじめ多くの重要リン酸化酵素の機能を修飾するphosphoinositide-dependent protein kinase1(PDK1)あるいは低分子量PPIase、FKBP12の組織内・細胞内局在を検討した。その結果、PDK1とくに高活性型のPDK1が細胞内タングルに共局在しタウ蛋白リン酸化に関与している可能性のあること、また近年報告されたPin1分子と同様にFKBP12分子が細胞内タングルに共存し蛋白脱リン酸化酵素によるタウ蛋白脱リン酸化に関与している可能性のあることを発見した。前者は2008年度の第27回日本認知症学会にて、後者は同じく2008年度の北米神経科学会(Society for Neuroscience2008)にて発表した。
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Research Products
(2 results)