2010 Fiscal Year Annual Research Report
認知症脳におけるタウ蛋白リン酸化・脱リン酸化酵素複合体に関する病態解析
Project/Area Number |
20591024
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川又 敏男 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (70214690)
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Keywords | 認知症 / 細胞内シグナル伝達 / タウ蛋白 / 蛋白リン酸化酵素 / 蛋白脱リン酸化酵素 / 神経細胞変性 |
Research Abstract |
最も患者数の多いアルツハイマー型認知症(AD)や、タウ病としても分類される非アルツハイマー型を含めた認知症の患者脳組織には、タウ蛋白が異常代謝され重合した神経原線維変化(タングル)が形成される。タングル数はADで認知症重症度と相関し、タウ蛋白の代謝異常は神経細胞変性との関連が推定されており、そのタウ代謝異常初期には異常かつ過剰なリン酸化の生じることが報告されている。そこで本研究では、タウ蛋白のリン酸化酵素・脱リン酸化酵素複合体やその活性状態の機能を調節する修飾分子の細胞内局在やシグナル伝達の変化を、リン酸化・脱リン酸化バランスや反応部位の破綻という視点から解析した。まずリン酸化修飾によって機能活性が調節される蛋白リン酸化酵素・脱リン酸化酵素の重要分子や、それら蛋白の細胞内会合分子に対する特異抗体を調整した。その後、高感度免疫組織化学法を用いて、多数の重要リン酸化酵素分子の活性化カスケードのハブとなり細胞内重要分子の機能修飾に密接に関与する蛋白リン酸化酵素PDK1やそのカスケード上流分子であるPTEN・PI3Kや下流分子であるPKC・PKN・S6Kなどの組織内・細胞内局在を、あるいはカスケード分子と細胞内で会合する分子のひとつ、低分子量PPIaseのFKBP12の組織内・細胞内局在を動物・ヒト脳で検討した。その結果、多くの重要分子の機能活性を調節しAD脳でプレセニリンによる機能調節を受けながらアミロイド前駆体蛋白APPを修飾する、リン酸化酵素PKCのうち特にnPKCの一つである亜分子種PKCδが神経細胞内タングルや変性神経突起でタウ分子と共局在することを明らかにし、2010年度の北米神経科学会にて一部の結果を発表した。またS6K分子もAD脳で同様の組織・細胞内局在を示し、活性化機序によってはタウ分子以外の細胞骨格関連分子と共局在することを明らかにした。
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Research Products
(4 results)