2010 Fiscal Year Annual Research Report
軽度認知障害の原因疾患としての海馬硬化性認知症の臨床・分子病理学的研究
Project/Area Number |
20591034
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
山崎 峰雄 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10277577)
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Keywords | 海馬硬化 / TDP-43 / 軽度認知障害 |
Research Abstract |
軽度認知機能障害(MCI)はアルツハイマー病の前駆状態として注目を集めているが、アルツハイマー病以外のMCIを構成する疾患である嗜銀顆粒性認知症や海馬硬化性認知症に関しては臨床病理学的に十分な検討が成されてはいない。特に海馬硬化性認知症の病態については本邦ではほとんど検討がなされていないため、本研究を行った。 しかし、連続剖検シリーズにおいても、病理学的に診断される海馬硬化性認知症純粋例はほとんどないことから、昨年度までの検討同様、小脳プルキンエ細胞の脱落を伴わず、海馬神経細胞が比較的選択的に脱落しているアルツハイマー病例を中心に、グアム島パーキンソン認知症例も加えて以下の免疫組織学的検討を行った。市販ポリクローナル非リン酸化TDP-43抗体を用いた免疫染色で、本来正常神経細胞は核の染色性が保たれているが、TDP-43陽性封入体を形成する疾患TDP-43 proteinopathyでは、封入体を形成した神経細胞の核の染色性は低下することが知られている。一方、今回検索に用いたアルツハイマー病の海馬などではTDP-43陽性封入体を伴わずに、本抗体による免疫染色で核の染色性が低下した神経細胞を認めた。TDP-43は本来、核に局在し、RNAなどと結合し、RNAの安定化や選択的スプライシング、転写調節などのプロセスに関与するタンパク質であることから、核染色性を喪失していることは、細胞死と何らかの関わりがある可能性があると考え、海馬神経細胞の脱落の程度や他の神経病理所見との相関の有無を検討した。しかし、脱落の程度と核の染色性の低下所見は必ずしも一定の傾向を呈さず、海馬硬化類似所見との関係は認められなかった。
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Research Products
(14 results)