2010 Fiscal Year Annual Research Report
マトリックスメタロプロテアーゼ阻害薬を用いた筋ジストロフィー薬物治療の基礎的研究
Project/Area Number |
20591035
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
萩原 宏毅 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (80276732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 史明 帝京大学, 医学部, 助教 (40286993)
松村 喜一郎 帝京大学, 医学部, 准教授 (50260922)
清水 輝夫 帝京大学, 医学部, 教授 (00107666)
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Keywords | マトリックスメタロプロテアーゼ / ジストログリカン / 筋ジストロフィー / モデル動物 / 神経科学 / ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤 |
Research Abstract |
本研究課題では、マトリックスメタロプロテアーゼ(matrix metalloproteinase ; MMP)阻害薬が筋ジストロフィーの薬物治療として有効であるか検討することを当初の目的とした。 昨年までの検討で、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(histone deacetylase inhibitors ; HDACIs)もまた骨格筋由来C2C12培養細胞の筋形成を促進することを明らかにした。 本年度は研究実施計画に基づいてさらに検討を進め、HDACIsの筋形成促進作用はMMP特異的阻害薬であるBPHAよりも強力であることを見出した。この結果は、筋ジストロフィーの治療薬としてHDACIsがより有望であることを示しており、極めて重要であると考えた。さらに、HDACIsがどのように筋形成を促進するのかそのメカニズムの検討を行った。具体的には、HDACIsの筋原性制御因子(myogenic regulatory factors ; MRFs)やジストロフィン結合蛋白質複合(dystrophin-associated proteins complex ; DAPC)の発現に対する効果を検討した。方法は、HDACIsの1つであるTrichostatin A(TSA)の存在/非存在下にC2C12細胞を培養し、その効果を形態学的・生化学的手法、DNAチップ、RT-PCR法等を用いて検討した。その結果、TSAはC2C12細胞のmyotubeへの分化を促進した。また、DAPCの発現の変化は著明ではなかったが、myosin heavy chainの発現の亢進を認めた。TSAにより発現が亢進するMRFsが認められた。以上より、HDACIsはMRFsに作用してmyotubeへの分化を促進する機序が考えられた。今後、モデル動物を用いてHDACIsの薬物療法への応用を検討する予定である。
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