2008 Fiscal Year Annual Research Report
局所性ジストニアにおける神経伝達異常の解明-ドパミン系とアデノシン系に注目して
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20591038
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
石井 賢二 Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology, 東京都老人総合研究所, 研究副部長 (10231135)
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Keywords | ドパミンD_2受容体 / 局所性ジストニア / 原発性眼瞼痙攣 / ポジトロンCT / [C-11]raclopride |
Research Abstract |
【背景及び目的】原発性眼瞼痙攣(EBS)は不随意な眼輪筋の収縮を特徴とし、局所ジストニアに属すると考えられている。その発症機序はいまだ明らかになっていないが、大脳基底核の関与が推測されている。大脳基底核は随意運動遂行時の筋トーヌスの調整や反射性筋収縮のコントロールに関与していると考えられている。我々は大脳基底核におけるドパミン神経伝達系とアデノシン神経伝達系に着目して、ジストニアの発症機序における両伝達系の関与を明らかにすることを計画した。今年度は、ポジトロン断層法(PET)を用いて基底核に存在するドーパミンD_2受容体密度の原発性眼瞼痙攣患者における変化を調べた。【方法】内服薬による治療を受けたことのないEBS患者群9例(男性2例、女性7例平均年齢53.7歳)および正常群9例(男性2例、女性7例平均年齢53.3歳)を対象とした。[^<11>C]racloprideとPETにより脳内ドーパミンD_2受受容体密度を測定し、比較した。【結果】原発性眼瞼痙攣患者群において、両側の線条体各部位(尾状核、被殻前部、被殻後部)でドーパミンD_2受受容体密度が健常群に比べ10-11%低下していた。【考察】EBSの発症機序として瞬目の中枢制御に関与する大脳皮質-基底核-視床ループの機能異常が推測されている。本研究によりドーパミンD_2受容体密度の低下に関連した瞬目反射抑制メカニズムの変化がEBS発症の一因となっている可能性が示唆された。神経薬理学的知見からは、10%程度の受容体密度変化自体、それ単独では病態の根本的原因となりえないと考えられる。従ってD_2受容体の変化は複数からなるジストニアの発症素因群のうちの一つと考えるべきであろう
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