2010 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧自然発症ラットにおけるインスリン抵抗性遺伝子欠損マウスの解析
Project/Area Number |
20591049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯塚 陽子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40420244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢作 直也 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (60420246)
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Keywords | 高血圧自然発症ラット(SHR) / 原因候補遺伝子 / kynurenine aminotransferase 1(KAT-1) / 高血圧 / インスリン抵抗性 / 交感神経活動亢進 / ノックアウトマウス / 肥満 |
Research Abstract |
【目的】メタボリックシンドロームのモデル動物であるSHRにおける原因候補遺伝子KAT-1(kynurenine aminotransferase-1)のノックアウトマウスを作製し、KAT-1の生理機能とメタボリックシンドロームの成因を探る。【方法】発生工学的手法を用い、遺伝子相同組み換えにより開始コドンを含むエクソン1-2の領域を欠失するデザインに基づきMT-1を完全欠損するノックアウトマウスを作製し、血圧、糖脂質代謝、肥満等の各種表現型の解析を行った。また、12週間高塩食、高脂肪食負荷下における解析も行った。【成績】1)欠損ホモマウスの各組織において、KAT-1の発現がmRNAおよび蛋白レベルで欠損していることを確認した。欠損ホモマウスは正常に出産・発育し、SHRと同様に、2)普通食下において、tail-cuff法およびtelemetryシステム法により有意な血圧と脈拍の上昇を示し、12週間高塩食下および高脂肪食下において、血圧の更なる上昇を示し、この傾向はマウスの交感神経活動が高まる夜間により顕著に認めた。さらに、3)高塩食下における24時間蓄尿中のカテコラミン分泌の亢進を呈し、4)普通食下において、空腹時血糖値の有意な上昇とインスリン負荷試験によるインスリン抵抗性の亢進を示し、高脂肪食下における空腹時血糖値の更なる上昇を示した。そして、5)活動度の増加に伴い、高脂肪食下における体重・脂肪組織重量の増加率の減少を示した。一方、6)SHRには認められない多飲・低張性多尿などの尿崩症症状を呈した。【結論】SHRにみられる多様な病態の背景にKAT-1の異常が深く関わる可能性が再確認された。また、それらの異常がラットとマウスの種差を越えてKAT-1の異常によって引き起こされていることが強く示唆された。
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