2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体内分子イメージングによるメタボリック・シンドロームの病態解明と新規治療開発
Project/Area Number |
20591052
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 尋史 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 講師 (50323572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 清了 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (10272551)
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Keywords | 肥満 / 脂肪組織 / メタボリックシンドローム / 慢性炎症 |
Research Abstract |
最近の研究により各種生活習慣病の背景には、慢性炎症を基盤とした異常な細胞間作用が生体内で生じていることが明らかになってきた。生体内の各組織では複数の細胞同士、特に実質と間質の細胞が常に相互作用しており、その破綻が疾患といえる。しかし、従来の単一の細胞種(培養細胞)を用いた分子生物学的手法、及び、固定標本の形態学的検討では、その本質、特に生体内における詳細な多細胞連関のメカニズムや背景にある分子機構に迫る事が難しかった。 西村は、一光子共焦点・二光子レーザー顕微鏡を生体に適応し、「生体内で細胞をみて、働きを知る」「生体分子イメージング手法」を開発した。メタボリックシンドロームを研究目標として、本手法を肥満脂肪組織に適応したところ、肥満脂肪組織で、脂肪細胞分化・血管新生が空間的に共存して生じており、微小循環において肥満を背景とする炎症性の細胞動態が生じていることが明らかになった。さらに、肥満脂肪組織の間質にはCD8陽性T細胞が多数存在し肥満・糖尿病病態に寄与していた。 西村は、さらに研究対象を脳・心血管病の原因である血栓症へと広げた。生体内で最も小さい細胞である単一血小板を可視化し、血小板動態や機能が解析可能となった。レーザー傷害による血栓形成モデルと組み合わせることで、血小板機能に異常を来す各種遺伝子改変動物における血栓形成過程を観察し、生体内での血小板機能との関係を明らかになった。さらにヒトiPS由来人工血小板の機能解析も可能となった。 西村の開発した生体イメージングは、従来の手法ではアプローチできなかった細胞間相互作用を生体内で直接可視化するもので、多くの研究領域において重要な役割を果たすと考えられる。
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[Journal Article] CD8^+ effector T cells contribute to macrophage recruitment and adipose tissue inflammation in obesity2009
Author(s)
Nishimura S, Manabe I, Nagasaki M, Eto K, Yamashita H, Ohsugi M, Otsu M, Hara K, Ueki K, Sugiura S, Yoshimura K, Kadowaki T, Nagai R
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Journal Title
Nature Medicine 15:8
Pages: 914-920
Peer Reviewed
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