2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳インスリン抵抗性による認知障害の防止に向けたリピッドホスファターゼの意義の解明
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20591053
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
笹岡 利安 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 教授 (00272906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
恒枝 宏史 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 准教授 (20332661)
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Keywords | エネルギー・糖代謝異常 / インスリン作用 / 認知障害 / ホスファターゼ / SHIP2 / PI3-キナーゼ / PTEN / 神経変性 |
Research Abstract |
2型糖尿病患者では、血管障害とは独立して認知機能障害(アルツハイマー病)の発症リスクの増大が認められる。また、脳でのインスリン抵抗性は、tauの過剰リン酸化や神経細胞死を亢進することでアルツハイマー病の発症に関与することが報告されている。5'-リピッドホスファターゼSH2-containing inositol 5'-phosphatase 2 (SHIP2)は、末梢のインスリン標的細胞において、インスリン作用を負に調節する分子として同定した。SHIP2が脳内に発現することや、2型糖尿病モデルマウスdb/dbの大脳皮質では、SHIP2発現が増加することを見出したため、本研究では、糖尿病において脳機能障害が生じる機序を解明するため、SHIP2過剰発現(Tg)マウスを用い、神経細胞でのシグナル伝達、脳保護機能および記憶・学習能力を検討した。Tgマウスの海馬および大脳皮質や、Tgマウスより単離した初代培養小脳顆粒細胞では、インスリンまたはIGF-1刺激によるAktおよびGSK3βのリン酸化の亢進が減少していた。SHIP2の変異抑制体を発現した小脳顆粒細胞では、インスリンによるAktやGSK3βのリン酸化亢進を認めた。また、小脳顆粒細胞でのSHIP2過剰発現が、インスリンとIGF-1による神経保護作用に与える影響をMTT assay法で検討した結果、インスリンおよびIGF-1の作用はTgマウス由来の小脳顆粒細胞で著明に低下していた。さらに、12-15ヶ月齢のTgマウスの大脳皮質では、TUNEL法により検出されたアポトーシス陽性細胞数の顕著な増加を認め、Tgマウスの記憶・学習能力を評価するモリス水迷路の成績が低下していた。以上より、脳神経細胞においてSHIP2の過剰は、インスリン/IGF-1シグナルを負に調節し、細胞死および記憶障害を誘発することから、SHIP2の阻害は耐糖能の改善と脳神経保護作用を有した新しい創薬ターゲットとなる可能性が期待される。
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Research Products
(4 results)