2010 Fiscal Year Annual Research Report
TCF7L2遺伝子の膵発生と糖尿病発症における役割についての研究
Project/Area Number |
20591055
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
會田 薫 山梨大学, 医学部・附属病院, 講師 (50184015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 哲郎 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (30113442)
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Keywords | 糖尿病 / 再生医療 / 膵発生 / TCF7L2遺伝子 / [○!R]-catenin |
Research Abstract |
Wnt signal系は、動物の発生過程をはじめとして、多彩で重要な役割を演じ、かつ、TCFL2遺伝子は糖尿病の原因遺伝子の1つとして注目されている。そこで、膵発生と糖尿病発症におけるTCF7L2遺伝子の機能を明らかにするため、PDX-1 promoterを用いて、膵特異的にTCF7L2遺伝子の上流に位置する[○!R]-cateninの欠損マウスを作製した。このマウスは、約10ヶ月までの観察では、外見上、野生型と見分けがつかず、成長も正常であった。また、随時に測定した血糖値も正常であり、10ヶ月齢マウスに糖負荷試験を行ったが、異常はみられなかった。さらに、膵の形態を免疫染色にて観察したが、野生型と差はみられなかった。これらは全くの予想外の結果であった。そこで次に、[○!R]-cateninの欠損が胎生中期以降になるようinsulin promterを用いて遺伝子改変を行う準備をしていたが、一時マウス継代不能となってしまった。人工授精にて回復し、実験を継続している。 また、新たなtransgenic mouseを2種作製した。1つは、恒常的活性化型[○!R]-cateninを発現するマウスである。もう1つは、TCF7L2遺伝子のdominant negative型を過剰発現させるマウスである。これらマウスをPDX-1 promoterやinsulin promoterによりCre recombinaseが産生されるマウスと掛け合わせることにより、膵特異的、あるいはR細胞特異的に恒常的活性化型[○!R]-cateninやdominant negative型TCF7L2遺伝子産物を発現させることができ、Wntシグナル系の膵発生、糖尿病発症における役割を明らかにできる考えている。今後も実験を継続していく。
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