2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規GLUT4結合蛋白による新たなインスリン依存性糖取り込み調節機構の解明
Project/Area Number |
20591061
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
奥屋 茂 Yamaguchi University, 大学教育機構, 准教授 (20214083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 淳 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (40311815)
竹田 孔明 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (60467793)
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Keywords | 糖尿病 / 蛋白質 / GLUT4 / インスリン / 糖取り込み調節 |
Research Abstract |
GLUT4のリサイクリング・トランスロケーション調節に関与すると予想される"GLUT4結合蛋白"のスクリーニングから始まった研究で、蛋白-蛋白結合に関与する"ANK構造"をもつ蛋白p61と、"GPIアンカー"蛋白p69が同定された。これらを3T3-L1脂肪細胞に過剰発現させると、インスリン依存性糖取り込みが促進すること等も明らかとなり、p61・p69のさらなる機能解析を進めている。 3T3-L1脂肪細胞の免疫組織化学・共焦点顕微鏡観察では、p61は主に細胞質内に、p69は細胞膜上に存在し、いずれも部分的にGLUT4と共存していたが、p61・p69ともにインスリン刺激後の明らかな細胞内局在変化は認められなかった。p61を過剰発現すると、コントロールに比較してインスリン刺激15分後の細胞膜上GLUT4蛋白の発現量増加を認め、インスリン刺激除去後にも細胞膜上GLUT4蛋白発現量増加は持続していた。すなわち、p61過剰発現はGLUT4エンドサイトーシスに影響する可能性が示唆された。一方、p69を過剰発現すると、コントロールと比べてインスリン刺激後の細胞膜上GLUT4蛋白発現量に明らかな差はなかったが、Triton非可溶化"ラフト分画"のGLUT4蛋白発現量は増加していた。すなわち、p69は細胞膜上のアクティブサイトと想定されている"ラフト"にGLUT4を留め置く蛋白質である可能性が考えられた。また、肥満・インスリン抵抗性モデルマウスの精巣周囲脂肪細胞の解析では、p61・p69いずれもコントロールマウスに比べ発現量が低下していた。興味深いことに、インスリン抵抗性改善薬のピオグリタゾン投与により、p61蛋白発現量は改善した。 以上より、p61とp69は異なる機序で細胞膜上のGLUT4蛋白発現量に影響し、インスリン依存性糖取り込みを調整する新たな分子である可能性が考えられた。また、これら蛋白質の発現量変化がインスリン抵抗性に関与する可能性も示唆された。さらに解析を継続中である。
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