2010 Fiscal Year Annual Research Report
膵β細胞グレリン受容体シグナル制御による新規糖尿病治療薬の開発
Project/Area Number |
20591070
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
出崎 克也 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90337329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢田 俊彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (60166527)
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Keywords | 生理学 / 糖尿病 / インスリン分泌 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
生体の血中グルコース濃度は、血糖調節ホルモンによって厳密にコントロールされており、この血糖調節の破綻は糖尿病を来たし重篤な合併症を引き起こす。唯一の血糖低下ホルモンであるインスリンは、血中グルコース濃度に応じて膵臓β細胞から分泌される。これまでに申請者は、新規ホルモン『グレリン』による生理的インスリン分泌抑制機構を明らかにし、膵グレリン機能の阻害によりインスリン分泌が亢進することを見出している。本研究では、膵β細胞グレリン受容体シグナルをターゲットとしたインスリン分泌促進作用による新たな糖尿病治療法の開発基盤を構築することを目的とする。 1. 膵β細胞におけるグレリン受容体シグナル伝達を詳細に検討した結果、グレリンがβ細胞のcAMPを低下させてインスリン分泌を抑制することが明らかになった。 2. 自然発症2型糖尿病GKラットは、Wistarラットと比較して膵島におけるグレリン発現が亢進していた。食後の血中グレリンレベル低下がGKラットでは減弱しており、これらがGKラットのインスリン分泌不全の一因である可能性が示唆された。 3. 浸透圧ポンプを用いてGKラットに対するグレリン受容体拮抗薬長期投与の効果を検討した結果、GKラットの随時血糖が低下し、さらにグルコース負荷試験時のインスリン分泌応答が亢進し耐糖能の改善を認めた。 4. グレリン受容体拮抗薬とインスリン分泌促進ホルモンのGLP-1を各々単独作用の無い用量で共投与すると、GKラットの分離膵島におけるグルコース誘発インスリン分泌およびグルコース負荷試験時の血中インスリン分泌が亢進し、GKラットの耐糖能障害が改善した。
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