2010 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴシン1-リン酸受容体とスカベンジャー受容体を介するリポ蛋白質作用
Project/Area Number |
20591077
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
木村 孝穂 群馬大学, 医学部, 助教 (90396656)
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Keywords | 動脈硬化 / 血管内皮細胞 / HDL / スフィンゴシン1-リン酸 / スカベンジャー受容体 / apoA |
Research Abstract |
従来、高密度リポ蛋白質HDLの主要な機能としてコレステロール逆輸送が知られている。我々はHDL中にはS1Pが高濃度に蓄積しているという発見に基づいてコレステロール代謝と独立したHDL作用のメディエーターとしてS1Pが関与する場合があることを示して来た。また、S1Pに加え、アポ蛋白/SR-BI系がHDLのコレステロール輸送だけでなく血管内皮細胞のNO合成酵素(NOS)の活性化を促進するという新しい概念も示してきた。更にHDLはNO合成促進作用を介してTNFによる血管内皮細胞の接着分子発現及び単球接着促進作用を阻害していると考えられているがそのシグナル伝達系は明らかでない。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いた実験系でこのHDL作用を制御するシグナル伝達機構を解析した。特異的なsiRNAを細胞に導入してS1P受容体及びスカベンジャー受容体SR-BI、PDZK-1それぞれの発現を阻害しその役割を調べた。S1PはS1P受容体の発現阻害条件下でのみNO合成作用が消失した。一方、HDLはHDL中S1P/S1P受容体及びapoA/SR-BI/PDZK1のどちらか一方の発現阻害条件下では50%程度のNO合成作用の阻害を認めたが、両方の発現阻害条件下ではNO合成促進作用は消失した。更に我々はこのようなHDLの血管内皮機能調節作用がスタチンによって増強されることを見出した。スタチンは血管内皮細胞のSR-BIの発現を増強していた。スタチンによるHDL作用の増強効果はSR-BIに対する特異的なsiRNA導入で消失し、スタチンの作用はメバロン酸の添加により消失した。よってスタチンの効果がHMG-CoA系を介しSR-BIの発現を増強していると考えた。更にスタチンのRhoの阻害作用に注目しアデノウイルスを用いてRhoの阻害による影響を調べた。スタチンによるSR-BI発現増強作用はRhoの阻害により再現された。スタチンの作用はRho阻害に加えPPARα系刺激も報告されているのでこの点についても検討を行った。その結果スタチンはRho阻害/PPARα刺激を介してSR-BI発現を促進しHDL作用を増強していることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Rapid non-genomic action of thyroid hormone and the expression of deiodinase in endothelial cells2010
Author(s)
T.Kimura, T.Aoki, K.Sato, A.Kuwabara, M.Nara, K.Tsunekawa, T.Morimura, O.Araki, H.Sumino, H.Tomura, I.Kobayashi, Y.Kondo, F.Okajima, M.Murakami
Organizer
14^<th>International Thyroid Congress
Place of Presentation
パリ(フランス)
Year and Date
2010-09-12