2009 Fiscal Year Annual Research Report
新しい平滑筋細胞増殖抑制因子CCN3の機能解明と血管病治療への応用
Project/Area Number |
20591078
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横手 幸太郎 Chiba University, 大学院・医学研究院, 教授 (20312944)
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Keywords | CCN3 / 動脈硬化 / 内膜肥厚 / Notch経路 |
Research Abstract |
本研究は平滑筋細胞増殖抑制因子であるCCN3の動脈硬化病変形成における役割を明らかにすることを目的としている。これまでの我々の検討ではCCN3が培養平滑筋細胞(SMC)の血清添加による遊走や増殖を濃度依存性に抑制すること。増殖抑制作用に関しては、強力な細胞増殖抑制作用を有するTGF-ssに非依存性なこと。CCN3はNotch経路の活性化を介してSMCの増殖を抑制することを、Notch経路活性化の指標であるICN1(Notch 1 intrecelluar domain1)の発現や、Notch経路活性化の抑制剤であるγ secretase inhibitorやRPMS1を用いて証明した。さらにCCN3のin vivoにおける役割を検討する目的で、CCN3ノックアウトマウスを作成した。CCN3ノックアウトマウスは通常の状態では血管壁に明らかな異常を認めないものの、血栓形成性内膜肥厚モデルにおいて、野生型に比し内膜肥厚が有意に増加することを明らかにした。以上の結果から考えて、血管壁中膜平滑筋細胞にて発現しているCCN3は、動脈硬化抑制的に働いている可能性が示唆された。 また、ストレプトゾトシンにて糖尿病惹起したマウス血管壁において、CCN3の発現が低下することも明らかにしており、この事実はCCN3が糖尿病性大血管障害の発症にも関与する可能性が示唆されている。ここまでの結果は、Arterioscler Thromb Vasc Biol.誌に発表した。 現在は、糖尿病状態における発現低下の分子メカニズムや、CCN3トランスジェニックマウスを作成し、CCN3の血管壁、特に動脈硬化における役割を検討している。
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