2009 Fiscal Year Annual Research Report
水代謝異常症におけるバゾプレシン分泌と腎アクアポリン水チャネルの動態
Project/Area Number |
20591083
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
石川 三衛 Jichi Medical University, 医学部, 教授 (70112620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船山 大 自治医科大学, 医学部, 助教 (40296116)
中村 智弘 自治医科大学, 医学部, 助教 (60382933)
斉藤 智之 自治医科大学, 医学部, 副手 (90382910)
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Keywords | バゾプレシン / アクアポリンー2 / 水利尿不全 / 蛋白発現 / 感染症 |
Research Abstract |
In vivo研究では、くも膜下出血モデルにおける水電解質代謝とアクアポリン2(AQP2)水チャネルの動態を解析した。モデルラットは体重250-300gの雄性SDラットをウレタン麻酔下に気管内挿管して左内頸動脈からカテーテルを挿入して脳内血管に損傷を引き起こし、くも膜下出血モデルを作製した。術後水30 ml/kgの経口水負荷後、24時間で低Na血症が招来されるが、sham手術群では血清Naは基準値内であった。現在血漿バソプレシン(AVP)値、腎内AQP2蛋白の発現、さらには脳内AQP4水チャネルの発現を次年度に向けて検討中である。 臨床研究では、感染症急性期にみられる電解質異常、特に血清Na濃度の変化を検討した。急性感染症患者63例(74.9±13.5歳)を血清Na値で3群に分けた。A群:血清Na≦134mmol/1(9例)、B群:134<血清Na≦140 mmol/1(39例)、C群:血清Na>140 mmol/1(15例)。入院時の循環血液量(対退院時で比較)の変化は、低Na血症群(A)は+1.8%、他の2群はそれぞれ-4.7%、-6.0%であった。炎症性サイトカインである血漿IL-1βは、3群とも高値だが、とくにA群で著しい高値を示した。血漿AVP値は3群とも高値で、群間に差異を認めなかった。感染症の治療経過で体液量の正常化と血清Na値の変化を検討すると、B、C群では体液量の改善に伴って血漿AVP値は正常化したのに対して、A群では血漿AVP値の正常化はむしろ血漿IL-1β値の低下に一致した。感染症急性期では、正・高Na血症群では体液喪失に傾くことが生理的刺激となりAVP分泌亢進に繋がるが、低Na血症群ではIL-1βによるAVPの不適切分泌を引き起こしSIADHの病態を形成することが示唆された。
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Research Products
(4 results)