2009 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン抵抗性に続発するインスリン分泌異常の分子機構の解明―GPR40の検討ー
Project/Area Number |
20591094
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
細田 公則 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (40271598)
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Keywords | 糖尿病 / インスリン分泌 / β細胞 / GPR40 / 膵臓 / 中性脂肪 / Pdx1 |
Research Abstract |
肥満と糖代謝異常におけるGPR40の意義を明らかにするため、遺伝性肥満SHR/NDmcr-cpラット(CP/CP)の膵島でGPR40遺伝子発現調節を検討した。 6、14週齢で遺伝性肥満SHR/NDmcr-cpラット(CP/CP)および非肥満対照(+/+)の膵島でのGPR40遺伝子発現を定量した。6週齢にて2群間で、体重に有意な差がなく、腹腔内糖負荷試験(ipGTT)で血糖にほとんど差はなかった。6週齢でCP/CPの膵島でGPR40遺伝子発現は+/+に匹敵していた。14週齢ではCP/CPで+/+と比べ体重が有意に増加していた。ipGTTでCP/CPで+/+に比べ耐糖能異常の進展が示され、血中インスリン濃度のピークは30分(6週齢)から90分(14週齢)に遅延しており、インスリン分泌障害が生じていることが明らかになった。CP/CPの膵島でGPR40遺伝子発現は+/+の約1/3に著明に低下していた。一方、+/+の膵島でGPR40遺伝子発現はほとんど変化がなかった。また、膵ラ氏島において、β細胞機能のマスターレギュレーターとされる転写因子Pdx1の遺伝子発現は対照と比較して約1/2に低下し、中性脂肪の濃度は約3倍に増加していた。 遺伝性肥満SHR/NDmcr-cpラット(CP/CP)では肥満の進行とともに、対照ラットと比較して、膵島でのGPR40遺伝子発現の低下とともに、膵ラ氏島における中性脂肪の蓄積と、β細胞機能のマスターレギュレーターとされる転写因子Pdx1の発現低下が認められた。GPR40遺伝子の上流にPdx1が結合することが報告されており、GPR40遺伝子発現の低下がPdx1の低下によるものであることが示唆された。今後、膵ラ氏島におけるGPR40遺伝子発現低下とPdx1遺伝子発現低下に関して、中性脂肪の蓄積との関連を含めて機序の解明を行う。
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Research Products
(5 results)