2008 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体腫瘍分化誘導療法に向けた、エムポウのプロラクチン細胞分化誘導作用の検討
Project/Area Number |
20591095
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
置村 康彦 Kobe University, 保健学研究科, 准教授 (30204100)
|
Keywords | mPOU / Pit-1 / プロラクチン / 成長ホルモン |
Research Abstract |
特定の下垂体細胞が特定のホルモンのみを産生するという細胞特異的ホルモン産生機構はまだ明確ではない。私どもは、Pit-1存在下にプロラクチン(PRL)遺伝子の発現を増強させる転写因子としてmPOUをクローニングした。mPOUがPRL産生以外のPRL産生細胞の特性をも決定する因子かどうか明らかにする目的で実験を行い、次の成績を得た。 1.免疫組織化学法で、mPOUはPRL・成長ホルモン(GH)産生細胞株に存在することを明らかにした。 2Bm-5(mPOUのrat ortholog)RNAiにより、内因性Bm-5はラットPit-1,PRL遺伝子発現を促進することを明らかにした。3.さらに、TRH受容体、これと共役するG蛋白や細胞内シグナル伝達分子の発現が影響受けないか検討中である。4,下垂体初代培養にも導入し得るアデノウイルスを使用したBm-5RNAi系の構築を予定しており、初代培養系でもmPOUの役割を検討したい。5.mPOU(Emb)ノックアウトマウスの作製のため、Emb(mPOUのmouse ortholog)遺伝子のクローニングを行っている。クローニング後、これを使用してノックアウトマウスの作製を試みる。 以上の検討を通して、mPOUがPRL発現以外のPRL産生細胞の特性にも影響する分化誘導因子である可能性を検討し、下垂体細胞分化、およびPRL産生腫瘍発生における役割について明らかにしたい。PRL産生細胞はGH産生細胞に由来するが、PRL産生下垂体腫瘍は薬物治療可能であるのに対し、GH産生下垂体腫瘍は治療困難であることが多い。実際に、mPOUがPRL細胞へ分化を促進する因子であるならば、その発現を人為的に促進する方法の開発は、薬物治療可能な腫瘍への分化誘導療法に結びつく可能性を秘めている。
|